観光業への“賠償”

(トラベルニュースat 11年9月25日号)コラム「象の指環」
  立ち入ることの許されない場所が現にあり、もともとそこにいた人たちにいつ戻れるかも示されていない。でも、その隣はまったく大丈夫。噂のレベル▼東京電力原発事故損害賠償で、観光業の賠償額が減らされるという。原発周辺4県の観光業への風評被害は、地震津波の影響も2割はあるでしょ、だから賠償額を減らしますよ、というのが東電の言い分▼全国が対象のインバウンド限定の賠償基準は、3月11日時点で予約のあったキャンセルが対象で、しかも解約時期は5月末まで。世界は6月から「日本は無条件に安全だ」と認めたらしい▼この根本的なズレは、我々が何度も口にする「観光業は平和産業」「安全安心が旅のパスポート」が伝わっていなかったからだ。「地域の総合産業」に至ってはまったく。観光立国として憂国の事態。(T)