◎たび/高知県梼原町/竹トンボ風車と神楽えべっさん

KokusaiTourist2011-11-03

しんぶん赤旗 10月23日付けより転載 
高知県梼原町は山深い町です。
 高知市からバスに揺られること約3時間、ゆるやかな坂道をカーブを繰り返しながら上っていきます。片側は深い谷。「雲の上の町」のキャッチフレーズそのままです。終着「梼原」に降り立つと、そこには端正な町が出現しました。メーンストリートの両側にはヤマボウシの街路樹が植わった歩道、上品な店舗や住居が並んでいます。町全体は緑濃い山に囲まれています。
 梼原は維新を夢みて決起し、土佐を抜け出して山口長州へ、そして江戸へと命を懸けて脱藩した若い志士たちを輩出した地。坂本龍馬脱藩の道が有名です。その梼原が今日、自然エネルギーを生かした先進の町としてあらためて注目を集めています。町内利用エネルギーの28・5%が自然エネルギーで賄われているといいます
 梼原町の自然ウオッチングに出かけました。
 町の総合庁舎は梼原産の杉材で建物外観を覆っています。その屋根には太陽光発電パネルが設置されています。
 太郎川公園の一角にある「雲の上のプール」は地熱を利用した温水プール。手を浸してみると温かい。「水温が30度ありますよ」と職員が教えてくれました。「美人の湯」とも呼ばれる「雲の上の温泉」にも入りました。自然を満喫できる露天風呂、打たせ湯、サウナなどがあり、泉質は炭酸水素塩冷鉱泉。慢性婦人病や神経痛などに効果があるそうです。
 町の中を、清流として知られる四万十川の源流域をなす梼原川が流れています。落差を利用した小水力発電所があると聞いて探しましたが、迷ってしまいました。うろうろしていると、軽トラックの女性が「案内しましょう。乗りなさい」と声をかけてくれました。「この発電で学校や街灯などの電力を提供しています」と説明していただきました。
 圧巻なのは日本三大カルストの一つ、四国カルスト高原に立つ2基の風車です(写真は民宿のおかみ・佐田久江さん提供)。カルストの石灰岩の牧場には牛が放牧されており、のんびりとした牧歌的雰囲気の中に子どものころの遊び道具だった竹トンボのように風車が回っています。大きな大きな竹トンボです。
 夜は民宿のおかみのお世話で津野山神楽(国の重要無形民俗文化財)を鑑賞することができました。演目はえべっさんが舞うユーモラスな「鯛つり」です。観客席に投げ入れられた釣りざおに見物客からの祝儀が結わえられ、鯛が釣りあがります。舞台に「環境モデル都市ゆすはらへ よう来てくれたね」の垂れ幕。
 梼原の峠や村はずれで「茶堂」という、かやぶき小屋をみかけます。創建は1604年までさかのぼるそうですが、その昔、旅人や道行く人に茶菓の接待をした場所だといいます。客人をもてなす精神が今も梼原の人たちに生きているのでしょう。福山斌尋

この記事の取材の日、は当労協国際ツーリストビューローの檮原ツァーhttp://www.hrk-tabi.com/tabi-yado/o160_index.htmlの実施の日でした。同じ民宿でお世話になり、津野山神楽もご一緒に観賞しました。