かわらけ窯遺構確認 奥州・白鳥舘遺跡

岩手日報12/1より
 奥州市世界遺産登録推進室は同市前沢区の白鳥舘(しろとりたて)遺跡の本年度調査で、かわらけを焼いた窯の遺構を確認した。平泉遺跡群では初の出土。既に見つかっている鍛冶炉跡と合わせ、奥州藤原氏の時代に一帯が工房だったことが確定的となった。現地説明会は3日午前10時から開かれる。
 本年度の調査では、かわらけの焼成遺構4基と、同遺跡内では最大規模となる掘っ立て柱建物跡、さらに陶磁器や酒を注ぐ銅製容器「ひさげ」の金具などが発見された。
 焼成遺構は昨年度に続き調査。底面に炭が確認され、側面に燃えた跡があるなどの構造や形状から考察し焼き窯だったと判明した。酒を飲む器として使われたかわらけが、ここで集約的に生産されていたとみられる。
 及川真紀主任学芸員は「平泉文化のかわらけの技術系譜をたどる貴重な発見と言える」と解説する。
 大型の掘っ立て柱建物跡は縦15・5メートル、横10・5メートルで南北に長い。これまで確認されていた三つの東西棟建物群と合わせてL字形に配置されていた。役割ははっきりしないが、中心的建物になりそうだ。
 同遺跡は平泉文化を支えた生産・物流拠点「川湊(かわみなと)」の可能性が高い。北上川で運ばれた大量の原材料を陸揚げした船着き場の在りかを探っており、来年度以降も調査を進める。
 30日は地元住民向けの説明会が開かれた。
 3日の現地説明会は雨天決行。問い合わせは同推進室(0197・56・2111)へ。