政官財学結ぶ原子力マネー


 原子力マネーの源泉は、巨額の原子力関係予算。長年にわたって、原発立地対策や研究開発に潤沢な資金を提供し、電力会社や原子力関連企業、大学の活動を支えてきた。
 グラフは1/22毎日新聞より
12年度予算案に、原子力関係分として4188億円が盛り込まれている。11年度比で1・1%減と、ほとんど変わっていない。研究開発関係は減っても、原発の安全や事故対策名目で研究費が増額されている。
 研究開発費は前年度比13・5%の減。「もんじゅ」など高速増殖炉サイクル研究関連予算は25・4%減となっても300億円の計上。
 安全・事故対策予算は、前年度比2・6倍と重大事故を防ぐ研究や、廃炉のための技術開発費用など含め大幅増の783億円。新設される原子力安全庁(仮称)の予算は504億円。
 原子力関係予算について、NPO法人原子力資料情報室」の西尾漠・共同代表は「高速増殖炉の予算減で『今までいかに無駄遣いしてきたか』は浮き上がった。しかし、野田政権が原子力政策を変えていこうという姿勢は見えてこない」と話す。
 原子力関係予算は最終的にどこに流れるのか。例の一つが、経済産業省資源エネルギー庁の「使用済燃料再処理事業高度化補助金」。
 使用済み核燃料の再処理時に出る高レベル放射性廃液をガラスに固める「ガラス溶融炉」の新型を開発するため、日本原燃青森県六ケ所村)に事業費の半額を補助するもので、09〜11年度で約70億円が交付された。
再処理工場は2兆1930億円をかけて建設中だが、廃液に含まれる金属の影響で溶けたガラスがうまく流れずに詰まるトラブルが相次いでおり、新型炉に置き換えるべく技術開発を進めているという。この補助金は10年度では、経産省日本原燃に15億4700万円を交付。日本原燃は、プラントメーカーのIHI、日揮独立行政法人日本原子力研究開発機構に計14億1200万円で開発を外注。東京工業大や、電力業界が設立した電力中央研究所など五つの大学・団体には計1億100万円で基礎データの収集などを委託。いずれも随意契約で、原子力予算が政府系研究機関、大学、プラントメーカーなど、関係者にまんべんなく配分されている。
 原子力関係予算が太陽光発電関連に使われるケースもある。
エネ庁が09〜11年度に計68億6000万円を計上した「分散型新エネルギー大量導入促進系統安定対策事業費補助金」は、沖縄電力を含む10電力会社が対象。電力各社が全国300カ所に太陽光パネルや日射量計を設置して、出力の変動などのデータを収集する。

1/22毎日新聞からの要約