オーロラの旅 その3

KokusaiTourist2012-03-16

その2http://d.hatena.ne.jp/KokusaiTourist/20120313
オーロラチャンスの最終日は深夜に現れた、1時40分に放送が入り、慌てパジャマの上から服を重ね着してカメラ片手に甲板に上がる。上を見上げ続けるのに慣れたおじさんがデッキチェアを運んできて頭を乗せる、なるほどと感心して同じスタイルで見上げる。光が弱く想像力豊かに見ないと認識すら難しい。強い光で見れたなら皆さんの部屋をノックしに行こうと思ったが、これでは叱られそう…光のベール状であることはわかったけれど、絵はがきやパンフレットで目にするようなものはそう簡単には見れないのだろう。それでも1日を除き毎日のようにかすかにでも見れたのはずいぶんラッキーな方かもしれない。

朝の9時20分頃に北極圏を通過する予定で、甲板でセレモニーを行うという。朝食後に皆さんと参加する、小さな鐘を通過するときに鳴らし、儀式の説明後に船長からスプーンに食物油を口に注がれるユニークな催しだ、その後に甘く美味しいベリーのワインも注がれる。魚の形をしたそのスプーンは記念にもらえる。部屋に戻ると北極圏通過証明書が名前と日付入りで届いていた。
2度寄港先で下船をして、地面を踏むとやっぱり元気になる。ランチを取りながら、7つの険しい山が連なる『セブンシスターズ』の雄大な景色を眺める。夕方にはトルグハットンというトロルが1000年以上住んでいると言われている山をサウナ室から見る。山の中央に肉眼でもわかる程の大きな穴が開いていて1枚岩のようで、他の山とは全く違う様相で、伝説の山であることがわかる。
下船前日の5日目にはトロンハイムの市内観光を申し込んでいた。ここは中世に繁栄した街で、かつては北ヨーロッパ最大の巡礼の町であり、現在ではノルウェーでは3番目の都市である。町は豊富な水を利用した水力発電を利用しているという。
街を一望できる展望台に上がるまで、ガイドさんの弾丸トークが続く。木造の建物がたくさん残っていて町の中心には王宮が残る、バイキング時代に活用されていた倉庫群は今はお洒落なレストランやお土産屋さんに姿を変えている。ニーダロス大聖堂は何度も修復を繰り返し、たくさんの逸話が残る。バスで移動をしたが、歩いてゆっくり散策するのも楽しそうだ。
クルーズ生活も馴染んだ頃に最終日を迎える、到着したベルゲンの港は空港の様な立派なターミナルになっていて
荷物もターンテーブルから出てくる。あいにくの日曜日で町のほとんどのお店は閉まっていた。ドライバーが配慮して
景色のいい所や穴場に連れていってくれた。国内線でオスロへ飛び、1泊して帰国となった。
帰ってからも体が何となく揺れている感じが少しの間続いたが、現実の生活に戻るとオーロラを見たことはまるで夢だったように思える。今回6日間の船旅を体験したが、日本で景色をゆっくり眺めて過ごす時間を持ったことのない生活をしているとなかなか手持ちぶさたの感はあるが、こういう時間の過ごし方もあるという発見と200年の歴史をもつフッティルーティン(沿岸急行船)の飽きさせない船のプログラム、食事、設備に大変感心した。
何よりいつ出現するかわからないオーロラを船でゆっくりと待つことができ、知らせが入ると見に行くという身軽さが寒い思いをせずしていれるし、寝て待つことさえ許される。それはひとつの贅沢なオーロラツアーだといえるであろう。
(K.OMURA)