ブータンってこんな国…!その1

KokusaiTourist2012-05-31

5月14日からいま注目のブータンツァーが催行されました。ブータンへの訪問者が増えています。参加者から紀行文、写真、スケッチなどがよせられていますので、順次紹介させていただきます。

ブータンの旅   宇山英樹 ①
 数年前にテレビの放送でブータン王国を知る。
「輪廻転生」人間は生まれ変わる。「牛や馬、ハエに至るまで生き物は先祖の生まれ変わりである」の教えを守り、人々は殺生をよしとしない生活をおくっている。
  国は、「経済の発展より自然環境を大切にし、人々の幸せを第一に考える」政策を貫いているとか。教育費や医療費は無料。貧者からは税金を徴収しないというのもうなずける。
 殺人や傷害事件が頻発し、年間3万人の自殺者を出す日本にあって、一度は訪れてみたい国だった。
 国際ツーリスト企画の「ブータンツアー」を知り、一も二もなく申し込む。
関空からバンコク経由でブータンのパロ空港へ。空港は山に囲まれた谷間にあり、着陸態勢に入ると機内の窓からの景色が一変。山肌がくっきり見え、手の届きそうな距離に。思わず握る手が汗ばむ。
ブータンでの見聞は、行程を追うのではなく、感じたままを記載することにする。
ガイドのジミさん。なかなか日本語は達者。3年ほどの日本滞在で習得したにしてはすご〜い。と思っていたら、日本滞在中に知り合った日本人女性と結婚。ブータンで共に暮らしているとか。ジミさん!地味なようでなかなかやり手だね。
 道路は日本と同じ左側通行。車は右ハンドル。ちなみに、今回のマイクロバスの運転手のお名前はウゲンさん。車を船に例えれば正に右舷に位置して、安全運転に“ヨーソロー”だね。
 道路幅は狭く、対向車がすれ違うのに苦労が要る。幹線道路でも舗装されているのは中央部分のみで(それもかなり傷んでいる)両サイドは土のまま。
だから常にホコリが舞い上がるため窓は開けられない。牛や馬が土の部分を並んで歩き、たまには道路中央まではみだす場合もある。
  道路にセンターラインは無く、信号も無い。それでも事故は少ないとか。低速の車に接近すると軽くクラクションを鳴らす。すると前の車は減速して左に寄り道を譲る。軽く手をあげて挨拶を送るしぐさを見て、事故の少なさもうなずける。
ブータンは、九州とほど同じ広さで、低地もあるが大半は海抜2000メートルを越える高地の山国。不思議なことに緯度がかなり南に位置しているため、森林限界が日本の中部であれば2500mだが、ブータンでは3000mを越えても大きな樹木が林立している。さらに、日本の高山植物チングルマと同種の花が咲き乱れる中にタンポポの花を見つけて驚く。花は、石楠花やあやめ、バラ、白詰草など日本でもなじみの花がたくさん見られた。
行く先々で見かけた人々は、民族衣装に身を包み、凛としていていい表情をしている。道路や橋など、社会資本の整備は遅れており、農業中心の経済で暮らし向きはけっして豊かではないが、人々の表情に貧しさはなく笑顔が輝いていた。
日本では考えられないことに、何もかもが手作業なのだ。川や道路の整備。寺院の改修や、家造りまで手作業なのだ。田や畑を耕すのには牛を、荷物を運ぶのには馬をつかう。
 面白い話を聞いた。朝、家の人が牛たちを牧草地まで連れて行く。そのまま放置しておくと、牛たちは勝手に夕方になると道を過たずに帰ってくるとか。
 橋の数が極めて少ない。宿泊したホテルの対岸が空港だったが、近くに橋がないため延々と川沿いを走り、最も近い橋を渡って戻ってくるというありさま。
トンネルもない。日本の大手ゼネコンが見たらトンネルを掘り、橋を架けまくることでしょう。本文中の写真、絵画は宇山さん提供
続く