「ドクター橋本企画 ケニアの子どもたちと大自然満喫」ツアーに参加して

参加された楠田るみ様から紀行文が寄せられましたのでご紹介します。
6月16日(土)関空を夜中12時前に出発、ドーハ空港で乗り継ぎケニアのナイロビ空港に到着したのが17日のお昼の1時ごろ(現地時間)。はるばるアフリカのケニアにやってきました。
 このツアーは守口で開業されている橋本ドクターが「支援しているアフリカの子供たちに会いに行きたい」と国際ツーリストビューローの岩淵さんに相談されたことから始まった企画です。
 ツアー参加者は添乗員の岩淵さんを含めて12人。普通の観光ツアーでは経験できない充実した10日間の旅でした。
 ナイロビに着くと、3台の車が迎えに来ており、私たち夫婦とたんぽぽ班の玉置さん、松本さん4人が乗った車の運転手さんは「スチーブです。マックインです」と日本語で冗談を交えて挨拶してくれたので、日本語が通じるんだ、とホットしました。
 車は、ナイロビ市内のスーパーマーケットに行き、小学校にプレゼントするためのサッカーボールや飴を買いました。ナイロビの町は高層ビルが建ち、行きかう人々も多く大都会ですが、一目で貧民街とわかる通りもあり、工事中の道路も多く埃っぽい感じもしましたが街路樹の上にハゲコウというコウノトリのような鳥がたくさんいて、なごませてくれています。YAMHAや、MITUBISHIなど日本の大企業の看板が目に入りました。
 次の日、孤児になった子象を飼育している所や、キリンとスキンシップできる施設を訪問した後レストランで昼食。ここにNPOチャイルドドクター・ジャパンのケニア事務所代表の宮田久也さんが来られて交流しました。
 「チャイルドドクター」というのは、貧困が原因で医者にかかれない子ども達を1か月1000円の寄付で、支援しようと組織されたNPOです。宮田さんは35歳のイケメンです。カナダに滞在中に暴漢に刺されて奇跡的に助かったという体験を通して、人の役に立つ生き方をしたいと今の仕事に行きついた話を淡々とされました。
 宮田さんの案内でチャイルドドクタークリニックに行き、そこから塚原さんという女性の案内でSOS孤児院に。SOS孤児院には、橋本ドクターが支援している子供たちが暮らしています。学校から帰ってきた子供たちは恥ずかしそうに私たち日本からのお客さんを迎えてくれました
 私たちが日本から用意してきたプレゼントを渡すと大喜び。折り紙で作ったコマや、パタパタ鶴も大好評でした。手をつないで一緒に広場まで歩き、日本のおじ様たちも童心に返って子どもとサッカーに興じました。
 次の日はナイバシャ湖でボートサファリーを楽しみ、ナクル湖でゲームドライブ。車の天井を開けて顔を出して「キリンがいたっ!」「象や!」「シマウマ!」と歓声を上げ子供のようにはしゃぎました。
 次の日はカイモシの長田さんの所に向けて一日中車で走り続けました。長田夫妻は神戸出身で移住して現地の人に農業指導をしている方です。道の悪いことったらありません。命がけのドライブです。途中、地球の割れ目「大地溝帯(グレイト・リフト・バレイ)」を通過。夕方、やっと長田さんのゲストハウスに到着。
 カイモシは標高1700mの高原にあるため赤道近くにありながらまるで軽井沢のようなさわやかさ。さっそく長田さんたちのNPOが農作物を販売している市場を案内してくれました。小さな売場ですが、バナナや、アボカドなどの農産物に加えて、ゴマ団子や、パンなども並べられていて、売り上げも徐々に伸びているとのことでした。
 とにかく貧しい。現金収入を確保しなくては。長田さんは化学肥料に侵された土地を有機農法で作物を実らせようと現地の方を指導。現地の方たちから、長田夫妻のおかげで収入も増えて喜んでいる、日本の方たちに長田さんのことを知らせてください、と異口同音に言われました。
 次の日、予定のコイバラック小学校にサッカーボールを届けに行きました。この小学校は公立ですが、年間1000円ほどのお金を払わなければ、学校に入れてもらえない。文字通り門前払いされるという。このことを日本で聞いた私たちは1000円で支援ができるならと、長田さんを通じて寄付をしていました。私の子は○○ちゃん、今回会えなくて残念でした。
 私たちは6年生から8年生までのクラスの子ども達と交流しました。約60人の子供たちが運動場に出て歌ってくれ、私たちも「この広い野原いっぱい」のサインダンスを披露しました。そして私たちが用意した大縄跳びや、凧揚げや、コマや、けん玉で遊びました。大縄跳びはすぐに上手に飛べるようになり、大うけでした。サッカーボールも本当に欲しかったんだなあと、その喜びように私の方が感動しました。
 締めくくりのイベントは、3枚の大きな白い布(実はシーツ)に用意した筆で「愛」「望」「絆」と墨で書き、子ども達が思い思いの絵や文字を書き入れました。その布は教室に飾られました
 ほとんどの子供たちは裸足です。ほころびた制服を着ていました。新婦人の仲間から預かった服や色鉛筆やボールペンはどんなに喜ばれたことか!

 夜は長田さんの案内で真っ暗な道を星とホタルを見に散歩。朝はコケコッコーの鳴き声で目覚めました。朝、長田さんたちに別れを告げて、マサイに向けて出発。またあのデコボコ道を命がけでドライブ。マサイマラに到着して2日間はゲームドライブを楽しみ、最後の日はナイロビに戻りました。
 出発の前にナイロビのスラムを歩きました。危険な地域なので、パスポートも、時計も貴重品すべて持たずにチャイルドドクターのメンバーが付いて案内してくれました。汚物を踏んで歩くような非衛生なところです。子どもの死亡率は高く、チャイルドドクターの医療支援が入ったおかげで最近は死亡率が下がってきたとのこと。ここでも、橋本ドクターが支援している子どもと対面。畳1枚か2枚のバラックに子ども4人と親子6人が暮らしている。母親は5か月ぐらいの子を抱いて乳を含ませていましたが、一日2食では十分なお乳が出ているとは思えませんでした。
 何とも言えない気持ちを抱えてスラムを出た私たちが次に行ったのは、トーマスバーナード孤児院。町に捨てられていた子どもを保護している孤児院で、明るくきれいな施設でした。テレビも冷蔵庫もありました。あのスラムの子ども達をここにみんな収容できないものか、と思ってしまいました
 「この子はこの施設出身なんですよ」と紹介されたのがここで仕事しながら大学で学んでいるというかわいい女性でした。
 施設は政府からの補助はなく、チャイルドドクターなどの寄付で運営しているとのこと。「政府は何をしているのだ!」と叫びそうになりました。ここのスタッフは、ほとんどが女性のようでしたが、どの人もみな積極的で明るい気風が感じられました。ケニアの希望を垣間見たように思います。橋本ドクターが支援していた一人の子どもは1歳半になっていて、若いデンマークの夫婦に引き取られることになったそうです。何でこんな若い夫婦に?と疑問に感じたのですが、デンマークでは医療も教育費も無料、子育てにお金がかからないし、黒人への偏見も克服した社会だからでしょう、と聞いて納得。
 あっという間の10日間。不勉強で何も知らずに行った今回のケニアの旅でしたが、アフリカで見聞きしたこと、出会った人たちから学んだことは数知れません。行ってみなけりゃわからない、幾つになっても好奇心はつきません。
帰国して関空のテレビに野田首相の記者会見が映し出されていました。ああ、日本社会も大変なことになっているや、がんばらな