日本の空で進む変化
WEB版業界紙トラベルビジョンより
全日空(NH)が成田/仁川線の運航休止を決めましたが、韓国は日本の海外旅行市場で最大規模のシェアがあります。その韓国の最大の市場であるソウルへ、しかも成田からの路線を、さらにNHが運休するというのは確かに大きなニュースです。NHでは休止について現状でも競争が激しいことに加え、LCCや今後のオープンスカイでさらに激化することなどを理由としています。
 興味深いのはLCCによる競争激化という点で、NHはエアアジア・ジャパン(JW)の設立という形でその原因の一端を担っているわけです。
 NHに限らず、ジェットスター・ジャパン(GK)に出資している日本航空(JL)も、フルサービスキャリア(FSC)である自社とLCCとではターゲットが根本的に異なるために深刻なカニバリゼーションは発生せず、むしろグループとしての取り扱いは増える、というスタンスですが、NHの今回の決定とこのスタンスには若干の隔たりを感じます。
 というのも、FSCLCCとのターゲットの違いは年齢や性別、年収、可処分所得、低価格志向の度合いなどになるはずで、地理的なターゲットは路線ごとに異なるものです。つまり、地理的に成田の方が近いNHの顧客もいるはずであって、コードシェア便は残るとはいえ顧客側としては不便を感じるでしょう。
 もちろん、例えば成田に利便性を見出す地域に住んでいる層と都心部の層では可処分所得がこの程度異なるというような考え方もあり得るかもしれません。あるいは、短距離路線ではフルサービスのメリットを打ち出しにくいことも決断の理由かもしれません。こうした推察がどこまで的を射ているかわかりませんが、いずれにしても思い切った決断と思われます。
 一方、HISは、自社でチャーター専門の航空会社を保有し、日本に限らず各国市場のピーク期に合わせてチャーター便を設定していこうというものです。HISで航空会社というとスカイマーク(BC)ですが、今回はチャーター専門ということで、トーマス・クックやTUIのような旅行会社がついに日本にもできるのかと驚きました。
 自社の思い通りに座席をコントロールできることは、旅行会社にとっては非常に魅力的なメリットでしょう。もちろんその分リスクも大きいわけですが、旅行会社のプロフェッショナリズムという議論においても、“代理店“からの脱却という意味を持ちます。客室乗務員をどうするかなど決まっていないことも多いようですが、HISの新しい取り組みが旅行業界をどのように切り拓くか強い興味を覚えます。


[集いの紹介]「仕事のストレス、メンタルヘルスと雇用管理−労働経済学からのアプローチ−」公開講演会
くらし学際研究所から公開講演会の案内をいただきましたので、ご了解を得て転載させていただきます。
みなさま
来る
12月19日(水)午後6時
から、
神戸市勤労会館407号室

で開かれる公開講演会で「仕事のストレス、メンタルヘルスと雇用管理−労働経済学からのアプローチ−」と題してお話しいただく
講師山岡順太郎氏から、当日配布予定のレジュメが世話人宛てに届けられました。
世話人会では当日の講座についての理解を深め、論議をいっそう活発にできるようにとの判断から、ご本人の了解を得て、このレジュメを先行して公開しました。
くらし学際研究所のブログhttp://kgk2.txt-nifty.com/を開いてご覧頂き、多数ご参加くさるようお願い致します。

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くらし学際研究所
事務局 森岡照美

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