“政権選択選挙って”

投票日の前日に考える
それは小選挙区制から始まった。
何回か前の総選挙から「政権選択選挙」と言われだした。小選挙区制では、「劇場型選挙」や「ワンフレーズ」アピール、「ワンイシュー二者択一」を強いる選挙で、メディアが風を煽って単独過半数を制し政権を握る可能性がある。だから議員の質より数を求める。ほとんど経験も実績もない候補者が立候補する。その風に便乗する見識ない現職・元職もいる。当選して大の大人が気恥ずかしくも「○○チルドレン」「△△ガールズ」などと呼ばれる。最近は候補者の粗製乱造との批判をかわすためか、政治塾開塾が続く。もっとも伝統ある松下政経塾は振興勢力に押されてか、総理を始め塾卒業生の「業績」があまりに不人気のためか入塾者が激減とか。
そんな付け刃の議員が増える反面、経験と実績の「落選前議員」がたくさん生まれる。これでは、国民意識に近い新鮮な声が政権に届くと言うより、政治の劣化、民主主義の危機の増大の方が問題。
 二大政党による「健全な政権交代」で「政治、政局の安定」をと称して導入されたが、最近のように多党化では、小選挙区議席を取り政権に近づくために、政策そっちのけでの連携、協力や「政党」の離合集散がすすむ。
 いずれにしろ、選挙前に国民にとっては「非公式」の議論がすすみ、選挙後の国会は数だけの決済機関に成り下がるが、選挙前の連携、協力がいい加減であれば、それをあげつらう非難合戦が、今度は「公式」の場で演じられる。国民は堪ったものでない。
 ホントは選挙民の多様な意見構成が正しく反映する議会を作るのが選挙の役割。だから全国単一の比例代表制が選挙のあるべき姿。当時小選挙区制度を強引に導入した党派においてさえ中選挙区制への復元の声が出ている。
選挙制度政党交付金制度は民主主義の成熟度の最大の指標。今回の投票に当たっての政党選択の基準の一つ
ではないだろうか。