地球へ途中下車第2回

素敵な熟年ご夫婦の1年間世界旅行の記録

旅の準備にかかわる情報も満載されています。出発1ヶ月前は大変忙しいく悩ましい日々の様子が記されており、365日ツァーのいわばウォーミングアップでもあったようです。本来なら、出発日まで順を追って掲載し、読者もともに苦労していただくのが筋かと思いますが、そうするとブログ上で出発できるのは一ヶ月以上も先になってしまいます。当ブログ主宰者の判断で、日本出立を今日にもスタートさせていただき、私たちにも非常に役立つ準備編は適宜織り交ぜながら進めていきます。お二人には誠に勝手なことでお許しいただきたいと思います。


旅の準備編
【前夜…たぶん今夜は徹夜です】
2011年07月02日(土) 21時41分56秒

 アッという間の旅行準備期間、一か月が終わり、いよいよ明日、離陸です。
対外的な手配などの準備はほぼ完成しつつあるのですが、持っていく荷物の準備と家の片づけが、これからです…。
妻の学生時代の友人が、「いよいよ明日やな」とメールをくれたので
「今夜は徹夜や」と書いたら、「あんたは、卒論提出前夜も、アパート引っ越し前夜も、たしか徹夜やったな。いい加減に歳を考えろ」…と言われてしまいました。
 そうでしたね。たしか両方とも手伝いに来て、一緒に徹夜してくれたんでしたね!ありがとう!どこまでも迷惑な友人です。……
 日本でやり残したこと、出発前にもう一度しておきたかったことはなんですか?──
 夫……王将の餃子、食べたかった
 妻……カラオケに行って、紀伊国屋文左衛門を唄いたかった
…くだらなさに関しては両者引き分けです。
日本に帰ってきて、やってもらうよりほか、ありません。
 以上、離陸前夜、現場からの中継でした──。

日本

【離陸…】
2011年07月03日(日) 08時54分29秒
 ゆうべ、2時間ぐらい身体を横にしてみたけど
不安で…  不安で… 心臓がドキドキした。
私たち、これから一体どこへ行くの? なんで行くの?
ほんとに行かなきゃならないの?
いままで、あたりまえのように日常を支えていたあらゆるもの──
目覚ましがわりの朝のラジオ、おはあさテレビ、配達されるしんぶん、電話の音、いつもの朝ごはん…
そんなものを一切断ち切って、行ったことのない知らない世界へ、2人だけで行く。
正直に言ってこわい… 息ができなかったらどうしょう? 
持ち物はバックパックひとつ。たったそれだけ。
やっぱりこれってお遍路さんの世界?…
新しい生活のはじまりでもある、今朝の旅立ち── at 伊丹空港


日本
仙台空港にて】
2011年07月03日(日) 20時30分36秒

 昔、世界旅行にいつか行けるといいな、と言っていた頃、2人でよく話をした。たとえばこれから一年間、日本を離れるとして、もしかしてこれが最後の見おさめかもしれないとして、見ておきたい、目に焼き付けて忘れないでおきたい日本の景色ってどこだろう?
 雪を抱いた富士山? 朝焼けの琵琶湖? 合掌づくりの集落 山科疏水か?

 夫が子どものときに遊んだふるさとの小さな神社?
2011年7月3日、本当なら夫の誕生日の4日を出発日にするはずだったけど、一日早く出て日本を出国するのに、私たちはいつもの関空からではなく、仙台空港を経由することにした…。
2011年3月11日、東北・東日本を大きな地震津波が襲った。まちが流され、暮らしが破壊され、おおぜいの人が亡くなり、家族が引き裂かれた。直後に福島で原発事故が起こり、放射能の被害はいまだに続いている。
 日本じゅうがこんなに大変なときに、世界一周の旅行だなんて何を気楽なことを、叱られるかもしれない。「あんたらいいね」と言われるだろう。
 震災が起こった直後から、今回の震災で日本が受けた大きな傷跡を
ひとごとではなく、自分たちも受けた傷として、感じてたい、と思っていた。
だけどボランティアに参加して現地に赴く機会もなく、被災した人々とふれあう機会もなく、ただただ遠くから見守るだけで募金や援助金に協力すること、祈ることしかできなかった…。

仙台に行くのは単なる自己満足。贖罪願望にすぎないと思う。
でも、今年、世界へ旅立って行くのに今回は関空からではなく、仙台を日本のスタートの地点にしたいと思った。
仙台空港に離発着する飛行機の本数はまだ少なく、間引き運行)。
実際に行って見ると、テレビの報道を見ているだけとは違う、何かを2人ともそこで感じていた。
 あちこちで復興の槌音が響き、空港の近くには真新しいレンタカーショップができていたが、その向こうにはまだ、くしゃくしゃになった何台もの車がおもちゃのように積み上げられたいた。海岸は本当に何もなくなっていた。
…本当にここで、大勢の人が亡くなったんだということを実感した。
 でも妻が特に感じたのは空港のプレハブの仮設の建物に、ところせましと飾られたたくさんの激励の寄せ書きやタペストリーだった。人を励ますのは人。人を癒すのは人。
 私たちは、今回の旅行のことで大勢の人から「夢が実現してよかったな」と祝ってもらい、「無事に帰ってこいよ」と励ましてもらった。そんな人の「思い」がもつ力を実感していたので、ことさらそのこを強く感じたのかもしれない。
 …バスで移動した仙台駅周辺は驚くほど活気があり、私たちは牛タンをお昼に食べ、ドコモショップに寄り、カメラ屋で充電池など、最後の買い物をした。
世界じゅうのどこに行こうと私たちは日本人。
地球上の、どの場所で夕焼けや夜空を眺めようと、私たちが最後に帰ってこれる場所は日本にしかない。 出発前にたくさんの励ましもらったたくさんの人の輪になかにしか帰る場所はない。
その日本がこれから、少しでも素敵な国になるように、みんなが幸せに生きられる国になるように
 世界の国と比べて、日本がほんとうにしあわせな国なのか
どうすればしあわせになれるのか
その答えが、どうであっても、日本のことを誇りに思って
日本人であることを好きだって、言い続けたい。
その思いだけは忘れないでいたいのです。

行ってきます。1年後、必ず無事に戻ってきます。  夫、妻


旅の準備編

【チケットの購入コースの決定】
2011年05月23日(月) 16時22分10秒
世界一周旅行を計画し、準備を始めた3年ぐらい前から、私たちはJALのマイル会員になり、マイルをせっせと溜めては世界一周の予行演習旅行(?)(パッケージツアーではなく、飛行機のチケットやヨーロッパの列車や宿をネットから自分で予約・変更してみる、空港から街まで自力で移動してみる、道に迷ってみる…などなど)
…をしていたこともあって世界一周旅行の手段を考えるときは迷わず、ワンワールドの世界一周航空券を購入することにしました。

ワンワールドの世界一周航空券は、
16フライトでエコノミーなら1人36万、ビジネスでも78万です。
エコノミーなら1フライトあたり2万円ちょいの計算です。
予定が変わっても変更できる正規のチケットだし、お安いと思います(他に諸経費や燃油チャージで+12、3万必要ですが)。
旅行代理店さんやその他、いろいろなところで買うことができますが、一番安いのはJALプラザに直接電話して、JALから発券してもらうことです。
(電話での購入のみでネットからは購入できません)。
(ちなみにこの電話は混んでいていつもなかなかつながらりません。スピーカーフォン必須で、精神の相当な鍛錬にはつながります(^_^;)

ルールはワンワールド加盟の飛行機会社の路線を使い
西周りか東周り、どちらか16フライトで地球を一周すること。
期間は10日以上、1年以内。
(陸路自走は1フライトに数えるとか、逆周りはダメとか、同一都市内では同一空港を使うとか、細かいルールがありますが、概ねそんな感じ…)

まずお目当ての都市、行きたいポイント近くまで飛んでいる飛行機があるかどうか、
そしてそこから次の目的地まで飛行機の路線があるかどうか、経由便を選ぶとそれで16のうちの2フライトをとられてもったいないので、直行便移動ルートと、自分たちのニーズが折り合う点を徹底的にさがします。よく優先順位をつけることが重要とか言いますが、私たちが感じたのは、必要なのは「根気」だということでした…。

ワンワールドのHP内にフライトシュミレーションできるページがあり
http://ja.oneworld.com/enja/

これはかなり簡単で便利、快適です。
(行く行かないは別として、シュミレーションだけでも、飛行機で世界一周する気分が味わえるのでぜひ一度やってみてください。もちろんタダです。シュミレーションするだけなら何の制約もありません)。

…こうして、結構スムーズにルートを決めることができたのです。
おお! ヤッショー!ハラッショー!  スパシーバ! 素晴らしー婆!
…と、よろこんだものツカの間!
離陸が難航しだしたのはそれからだったのです。

私たちは、ヨーロッパにはシェーンケン協定なるものがあって、協定加盟国(ヨーロッパのほとんどの国)内では180日の期間内に合計90日を超えて滞在してはならない、って決まりがあることを知らなかったのです!
(ネットで情報収集をしていてわかってきました。JALは航空券の販売のみで、そういう情報提供や助言はしてくれません。そういう意味では旅行代理店に払う1万とか2万の相談料は高くないのかもしれません)
シェーンケン協定の存在で予定を大幅に見直さざると得なくなりました。
それにしてもヨーロッパ・EUって、ユーロといい一つの国としてのまとまりになってアメリカに対抗することを考えているのでしょうか?

さらに今度はアメリカ! おまえもか…
いったんアメリカに入国すると(トランジットも含めて)メキシコ、カナダを含めて90日しか滞在できないという3国間の取り決めがあることが発覚!
これもアイタタ…な情報でした。

結局、我々が選択したコースは…
 成田(日本)→バンコク(タイ)→デリー(インド)→ロンドン(イギリス)〜ユーレイルで一周〜→イスタンブール(トルコ)→マドリッド(スペイン)→サンティアゴ(チリ)→イースター島→リマ(ペルー)→サンパウロ(ブラジル)→サンディアゴ(チリ)→メキシコシティ(メキシコ)→シカゴ(USA)→ニューヨーク→ロスアンジェルス→ホノルル(ハワイ)→成田(日本)
…と、地球をぐるっと西回り
使う航空会社は JALキャセイ、ブリティッシュエアウエイズイベリア航空、LAN、AAの6社。

アジアの暑さを避けて7月出発(インドは4・5月が一番暑い)、
ヨーロッパではシェンケン協定にもユーレイル(ユーレイルパスも期限が3ヶ月)にも入っていないイギリスを拠点に、暑い時期に北欧・ロシアへ、主に秋にヨーロッパを周りまたイギリスに戻ってトルコ・エジプト・モロッコへ、北半球が寒くなる時期にスペインから南半球(南米)に移動、南米で比較的ゆっくり過ごして、アメリカ大陸は主に春から初夏、先にメキシコに入って
最後にアメリカ・カナダで3ヶ月を使うことにしました…。

季節・時期に観光の旬や制限があったのが
・イギリスのハリーポッターホグワーツ鉄道、ジャコバイト号乗車が5〜9月末
・ロシアのキジ島行きの水中翼船は6月〜9月末
ボリビアウユニ塩原は2月が最もシーズン
リオのカーニバルは2012年は2月18〜22まで
・メキシコ・チェチェンイッツア2012年春分は3月22日……

ずいぶん何度もルート変更し、JALのつながりにくい電話にトライしました。
購入決済をしてからのコース変更は、一回につき125$必要になってくるで、まず仮予約して、その間に慎重に検討します。
日の変更は無料で何度でもできます(…というか航空券は330日以前でないと購入できないので、実際には11カ月先のフライトは仮の日付けでの予約になります)

…ちなみに世界一周航空券はこの際、ビジネスクラスを選択しました。私たちビンボートラベラーにとっては異例の大フンパツです。…なぜかと言うと、我々の世界旅行は予算の関係上、
基本、宿泊はユースか同等クラスで2人で平均一泊3000円以下、宿代込みで一日2人1万円のタイトな毎日です。
かなりビンボーなうえに、スリや強盗、道迷い、ボッタリ、相次ぐ夫婦ゲンカ…など極度のストレスや緊張を強いられる365日です。
…種々の緊張感から解放されて、ホッと一息つけるのは飛行機のなかぐらい。
せめてその場面では、ラウンジの利用なども含めて自分を思い切りリラックスさせてあげようという、夫の提案です。
う〜ん…。長年のビンボーが染みついて板について、カマボコ状態になっている妻だけだと、たぶん出てこなかった発想、と思います。先を見通すチクワの発想です!すばらしい!

そして、ムダな出費は極力避け、倹約するところはしっかり倹約し、そして価値のあるもの、心の贅沢につながる部分ではちょっとだけ惜しまず費用を使おう…という基本方針が決定したのでした。
…というか、いろいろ調べていると、エコノミーを選択するのであれば、いっそのこと、とことんLCC(ローコストキャリー)を利用して航空運賃の節約に徹したほうが、コスパ的に正解ではないか? という気もするのです…

LCCはアジアでの Air asiaはじめ、何回か使うつもりですが、安いぶん、リスクも大きい…。
どちらかですね。
人生と同じで、二つ両方のいいとこどりは、ありえないようです…:*:・( ̄∀ ̄)・:*: