働くみなさんへのアピール その1


共産党が「働くみなさんへのアピール」と題して下記のアピールを昨日14日発表しました。“アベノミクス”の“効果”に一部輸出企業、大手、マスコミなどが浮き足立ってる時に、1党派のアピールでではありますが、国民の側からの反撃の根拠になりうるものです。長文ですので、3回に分けて転載します。

賃上げと安定した雇用の拡大で、暮らしと経済を立て直そう
________________________________________
世界でも異常な賃下げと雇用不安――賃上げと雇用の安定は切実で当然の要求です

 働く人の賃金の低下と労働条件の悪化に歯止めがかかりません。昨年の勤労者の平均賃金は、1990年以降で最低となり、ピーク時の1997年より年収で約70万円も減っています。非正規雇用が、労働者の3人に1人、若者と女性では2人に1人にまで広がり、年収200万円にも満たない労働者が1000万人を超えています。低賃金で不安定な働き方の非正規雇用の拡大は、正規雇用の労働者の賃金と労働条件の低下、長時間労働に拍車をかけています。
 この10年余の間に、平均でも月給の2カ月分程度の収入がなくなったのですから、ローンや教育費をはじめ、労働者とその家族の暮らしの悪化は深刻で、賃上げと安定した雇用への願いは、いよいよ切実です。同時に、賃下げと雇用不安が広がり続ける日本社会の現状は、世界の流れから見ても異常さを際立たせています。
(図)上(グラフ 1)  下(グラフ 2)

 賃金が長期にわたって、連続的に減り続けている――こんな国は先進国の中でも日本だけです……日本は、1997年からの14年間に、働く人の所得(雇用者報酬)が88%に減少しました。同時期に、欧米諸国では、アメリカ―178%、イギリス―190%、フランス―163%、ドイツ―129%となっています(グラフ 1)。
 最低賃金は先進国で最低水準です……日本の最低賃金は、全国平均時給749円にすぎず、フランス1084円、イギリス928円、オランダ1021円、アメリカ753円(2012年OECD購買力平価)など、先進国で最低水準です。最低賃金で年間2000時間働いても年収は150万円以下ですから、低賃金労働者を生み出しやすく、それが全体の賃金を引き下げる構造になっています。
 非正規雇用の急増も日本の異常さの表れです……日本の非正規雇用は、1980年代から1990年代の前半までは労働者全体の1〜2割程度でしたが、いまや35・5%までになっています。これもドイツ―14・5%、フランス―13・5%、イギリス―5・7%と比しても異常な多さです。EUでは、「ヨーロッパは、低賃金と低技能を利用して国際競争力を維持することはできない」(2007年3月 ヨーロッパ議会雇用・社会問題委員会の文書)としています。
 無法な解雇が横行しています……10回にもおよぶ「面談」での「退職強要」、退職に追い込む対象者を「追い出し部屋」に閉じ込める、終業時間間際に「成績不良」と決めつけた「解雇通告」を読み上げ、「私物をまとめてすぐ出て行け、二度と会社に来るな」というロックアウト解雇――こんな無法がまかり通っているのも日本でだけです。
 ILO(国際労働機関)は、1999年の総会で「ディーセント・ワーク」――人間らしい生活を営める、働きがいのある労働――をかかげ、その実現に向けて国際的な取り組みがすすんできました。ところが日本では、これに逆行して、1990年代後半から「使い捨て」の非正規雇用が広がり、賃金も下がり続け、無法なリストラ・解雇が横行するという、“人間らしく働き生活する”という、世界では当たり前の労働者の権利がないがしろにされてきました。
 2013年春闘では、全労連は「月額1万円以上の賃上げ」、連合は「1%の賃上げ」と、それぞれが賃上げを要求しています。賃上げと安定した雇用の拡大は、労働者とその家族の生活の実態からも当然であるとともに、世界の流れからみても、きわめて当然の要求です。日本共産党は、この要求を強く支持するとともに、ともにその実現のためにたたかうものです。(明日に続く)