地球へ途中下車第14回

素敵な熟年ご夫婦の1年間世界旅行の記録

前回までhttp://d.hatena.ne.jp/KokusaiTourist/20130310

今日はインドからロンドンへそして第1部アジアのまとめです

2011年08月01日(月) 00時24分52秒
インド

【難儀なインドの乗り物】

(夫・記)
公共交通機関の整備が遅れている国では必然的に個人運営の乗り物がそれを代行する。インドではタクシー、オート力車、サイクル力車がそれだ。
料金体系は、メーターで値段を決める。プリペイドで値段を決める。交渉する、の3つだ。
運よくメーターのついたタクシー、力車にのれたら「メーターで」と言い切ればよい。(メーターには割増料金の設定があるので注意が必要:空港からホテルまで必要でないのに割増料金で乗った)
プリペイドの場合は目的地までの値段がプリペイド売り場に表示されているので、それにプリペイド手数料Rs5(5ルピー)を足したプリペイドカードを買えばよい。
駅前、道路沿い、ホテル前に止まっている車に乗る場合は値段交渉になる。おおよそガイドブックに書かれている値段の数倍を請求される。外国人旅行者が観光地のみやげもの屋でべらぼうなの値段でふっかけられているのと同じ感覚になる
旅先では、なるべく公共交通機関を利用するようにしているが、できない場合、適切な値段を模索することになる。

アグラー駅からホテルまでプリペイドタクシー(Rs155)を利用した。降りる時、これからの予定、明日の予定をしつこく聞かれたが、ホテルからタージマハルまで歩く、と逃げ込むようにホテルに入る(もちろん予約していないから、成立するまでひつこく付きまとわれた)。
ホテルを出るとオート力車から「タージマハルまでRs 100」と声を掛けられた。
「高過ぎる。タージからアグラー城まででも40と聞いた」
「じゃRs 50」
「歩いて行けるのでRs 10」
「…帰れ」

数歩歩くと次のオート力車が
「Rs 30」
…Rs10では話にならなかったのでRs50とRs10の間、Rs 30かRs 20?と判断。Rs 10の差なのですぐ後ろにいてるオート力車に見せつけるため、即答
 「ok」
 タージマハルに着くと、この後どうするのかを聞いてくるが決めていない、と答えた。
タージマハルを見終えてからは、宿泊していたホテルのレストランで夕食することにした(ほかにない)。
ぶらぶら、まちを見学しながら、歩こうと思っていたのにタージマハルを出るとサイクル力車が次から次へと声をかけてくる。「歩きたいからいらない」と断るが、歩くことができないぐら、次から次へと近づいてきて声を掛けられ続ける。ついに
「ホテルまでいくらでいくねん?」
「Rs 100」「…」
「オート力車でここまでRs 30できた」
ここはオート力車が入ってこれない。
「じゃRs 50」
「乗らない」
「じゃRs 30」
「乗らない」
「じゃRs 20。一人Rs 10ずつ」(リキシャは一人乗り)
前を見るとサイクル力車が行列で待ち構えている。歩くのは無理と判断。乗ろう。「ok」
ホテルのレストランに着くと「食事のあとホテルに戻るのだろう。どこのホテルだ。待ってるからそこまで乗れ」と話してくる。「ここがホテルだ」
夜、明日のスケジュールを相談した。
まずアグラー駅まで行って荷物を預けて、ファテーブル・スィークリーとアグラー城を見学しよう。
アグラー駅へタクシー(予算:Rs 200)で、
ファテーブル・スィークリーへはバス(予算:Rs700)で
アグラー城へはタクシー(予算:Rs310)で
朝、ホテル前でタクシーと交渉
「タクシーでアグラー駅まで」
「Rs400」
「高い」
「オート力車でRs200」
「昨日、タクシーでRs150で来た」
「じゃオート力車でRs150」
「仕方ない、ok」
敵は手強い。降りるとき予定を聞いてくるから、全部回ってRs1000なら手を打とうか。

アグラー駅に到着すると、
「今日、どうするんだ」
「ファテーブル・スィークリーとアグラー城を見学する予定」
「ファテーブル・スィークリーとアグラー城のほか2か所、タクシーでRs3000」
「高い」
「ファテーブル・スィークリーとアグラー城のほか2か所、オート力車でRs2000」
「ファテーブル・スィークリーとアグラー城の2か所のみでよい、ただし、ファテーブル・スィークリーはタクシー、アグラー城はオート力車で」
「Rs1300」
Rs1000
「Rs1150」
「ok、駅に荷物(カバン)を預けて来る」
 駅の構内で昨日つきまとっていた日本語を話すインド人に偶然出合った。
 「今日、どうするんだ」
 「ファテーブル・スィークリーとアグラー城の見学」
 胸ポケットからパンフレットを取り出し、
 「ファテーブル・スィークリーはRs1100、アグラー城と他2ヶ所でRs500でどう?」
 「高い、ファテーブル・スィークリーとアグラー城だけでよい」
 少し考えて
 「Rs1100但し高速料金と駐車料金はあなたが払う」
 「外にRs1000でokしたドライバーが待っている」
 「じゃRs1000で行く」
 「昨日から声をかけてもらったので、乗り換えるよ」
 
 タクシーに乗り込むと出発
 「エアコンつけて」というと
 「エアコンは料金に入っていない。つけると30%の料金になる」!!!
 「Rs300もするのならエアコンは要らない」
 
 「高速料金を支払って。Rs51」
 「Rs51もするのか」
 しばらくしてまた料金所
 「Rs40支払って」
 
 ファテーブル・スィークリーに到着すると、
 「出発は1時間後に」
  「1時間じゃ短い」
 「昼食のこともあり、1時間30分後出発」
 「ok」
 
 ファテーブル・スィークリーは素晴らしい、気がついたら既に1時間35分過ぎていた。慌てて戻る。
 「次はアグラー城だが、その前にチープ&グッドな食堂に案内するよ」
 着いた食堂はチープなとは程遠い、最も安いメニューでRs340、結局二人でRs890の支払い。そのうちいくら彼らに入る仕組みになっているのかは知らない。
 
 アグラー城では駐車場代金Rs20を支払う。
 
 アグラー城の帰り、
 「時間があるので、アグラーの市内を案内する」
 「どこに連れて行ってくれる?」
 「インドの工芸品の店、お土産に最適。安いよ」
 「お土産はいらない」
 「マーブル、シルク。すばらしい」
 「マーブルもシルクもいならい」
 無理やり土産物屋に連れて行こうとする。こんなやり取りを数回、ついに
 「それならいいからもうアグラー駅に行って」
 
 アグラー駅に到着。
 「旅は良かったですか、サービスは良かったですか、チップを下さい。チップ、チップ」
 むかっとした。
 「ファテーブル・スィークリーで待っている間、お前らは車の中でエアコンで涼んでいただろう! エアコンをつけるのに金がかかるといいながら。
 チープな食堂っていってたけど、我々がその食堂にいくら支払ったか知ってるか。
 なぜ、運転手と助手の二人も乗っているんだ。ガイドでもないのに。眠気ざましの話相手か。一人にしてその分、値段を安くしろ! そしたら、チップぐらいは出してやる」
 …と言いたかったけど、言えなく。
 「サービス、どんなサービスをした。高い昼食を食べさせられたので、もう払う金がない」と強い剣幕で話をすると、黙って帰って行った。
 
 結局、かかった費用は、決して食べないような高い昼食費を入れて、Rs2000。
 しかも、それぞれの見学時間が1時間30分、と短く、結果アグラー駅で電車待ち6時間。
 
 当初の予定はそれぞれの見学時間3時間位で電車待ち3時間を予定していた。
 費用をケチったツアーを頼む時は、モデルコース(Rs1100+Rs500+Rs890=Rs2500)にすべき、安いと思って決めると値段の基準がなくなり、余計なものを払わされ、結果として高く(Rs1000+Rs110+Rs20+Rs890+Rs300=Rs2320)つくことがわかった。

それにしても、われわれのように土産は一切買わない、グッドホテルにも連れていかれない客は、彼らにとっても上客でではないのだろうが。

2011年08月02日(火) 20時01分29秒
インド
【さいごにインドのこと】

(タージマハルのモデルになったフマユーン廟)

インドについては
「うわー。これはあかん!」
という第一印象が

「摩訶不思議世界に迷い込む」興味に変わり…

…最後に感想として残ったのは、貧富の差がひどすぎる。「抱えている問題が複雑で深刻だ」ということに対する気づいたことへの痛み、悲しみでした。

その多くの原因が身分制度カースト制に根ざしていることまではわかるのですが、解決の糸口がなかなか容易ではない感じがするのです。

インドにいる間、もううんざりして、ストレスの原因になった「親切なインド人攻撃」や「行きたいところに決して連れていってくれないオートリキシャマン」なども、カーストによって生まれながら、それぞれ就ける職業が細かく限定されていること、そのなかで彼らが工夫して、精一杯生活を守ろう、向上させようとしていることを思うと複雑な気持ちになるし、

道端で喜捨を要求する大勢の老若男女も、怠惰や流れ流れてそうなったわけではなく、その階層に生まれると、そういう生き方しか選択ができない社会構造になっているのだということ、

一方、欧米人と同じぐらいの年収を得ている富裕層が何パーセントか確実に存在していて、生涯、人生のファーストクラスのチケットことを手にしていることを思うと、「同じ時代に同じ人として同じ社会に生まれてなんで?」とものすごい矛盾を感じます。

じゃあ日本が完全に平等で格差がない社会かといわれるとつらいですが…。


(シャージャハーンが築いたラールキラー)







2011年08月02日(火) 20時37分37秒
イギリス
【ロンドン涼し〜】


インドを脱出!
2日の朝、ロンドンに着きました!

空港から接続のサブウエイへ。
地上に上がったとたん、
真っ赤な2階建てバスが!

おお、ロンド〜ン!

そしてロンドン
すずし〜!

常にハエをおわなくていいことが
したたりおちる汗を常にふかなくていいことが
こんなにも気持ちいいなんて

誰からも「どこ行く?」と声をかけられ、行く手を阻まれないことが
こんなにも快適だなんて
○★◎を踏むことを気にせずに道を歩けることが
こんなにも楽しいなんて!
さいこー
最後は夫も熱を出したインドでしたが、いまは二人とも元気で、セントポール寺院の鐘の音を聞いています!

地下鉄のプリペイドカードも買ったぞ!
デポジット5ポンドであとはチャージする。JRのイコカとかといっしょ。とりあえず10ポンドチャージした)

1ポンド=135円






2011年08月03日(水) 17時44分27秒
アジア

【第一部アジアの旅を終えて】
今回は対談形式でお届けします。
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妻:出発から約一か月が経ち、6か国を回り、ようやくインド脱出。これで第一部のアジア編が終わりまましたが、感想をどうぞ。いちばん印象に残った国は?

夫:それぞれの国にそれぞれの特徴があるので、一言では言いずらいが、快適さという言い方にするならタイ。興味深さという言い方ならカンボジアかな。

妻:タイは思いのほかよかったですね。思ってたより生活レベルが高く、そのわりに物価が安い。特にチェンマイはよかった。のんびりしていて。

夫:チェンマイの時間がゆっくり流れていくような感じはよかったですね。ただ、ブッダデーにはまいった。

妻:ははは…タイスキがおいしかっただけにねえ。インドはどうでしたが?

夫:インドは評価が分かれるね。何も考えなければ、それなりに楽しい国かもしれない。カースト制のことを見なければ…カースト制はしんどい。
妻:日本でも進行しつつある格差社会と重ねると救いようがない感じがしましたね。富裕層のあまりにもリッチな暮らしと喜捨を求める路上の人々との生まれつきの差がひどすぎる。でも遺跡はすごかったでえすねー。

夫:見学した物のなかではタージマハルがやっぱりすごかった。アンコールワットもそれなりに衝撃だったけど。

妻:タージハマルはやっぱり一見の価値ありましたね。世界旅行の目的の一つでもありますね。それにしてもあの技術力の高さ、繊細さがなぜ、現在にインドに受け継がれていないのか? ホテルのトイレの安タイルの貼り方、方向、めちゃくちゃだったし。せめて同じ方向にとか、互い違いとか…日本の職人ならすると思うけど。土木工事とかにしてもとにかく雑さが目立つ。どうして職人としての技術が継承されてこなかったのか?トイレで考えていました。(タージが完成したとき、今後、これ以上の素晴らしい仕事をしないように、工事に関わった職人の片腕を全員、切り落として、その代り家族とも一生の生活をみた、という逸話もある)
夫:職人が人間として扱われていなかったんだろうな。

妻:人間として大切にされないところでは技術の継承や発展は起こらない…
夫:食べ物についてはどうですか。

妻:タイ飯レベル高し!タイのごはんって、どこで食べてももうこれでもか、っていうぐらいじゅうぶんおいしいのに、さらに、甘さ、酸っぱさ、辛さ、とかの4種の調味料が出てきて「お好きにどうぞ」って。思うにあの謙虚さが、おいしい料理の根底ではないか?と。夫は料理はどこが気にいった?

夫:東南アジアの料理はどこもおいしい。多分、家で料理をする機会が少ないため、屋台(外食)が発達したのだろうか。そうするとまずい店は客が来なくなり潰れて淘汰され、結果としてうまい店が残っているように思う。

妻:タイ、マレーにはどこにでも屋台村があって楽しいよねえ。シンガポールだけはフードコートレベルの味だったけど…。
夫:インドの料理は本当にカレーだけだったな。外国人向けの店のカレーはおいしいし、ずっと食べ続けられそうだったが、インド人向けの店でカレーを食べてからどんなカレーを食べても同じ味になって、食傷気味になった。
妻:マクドナルドもカレー味だったしね。思いのほか、がっかりしたことは?
夫:ラオスはいい、と聞いていたわりにはもう一つだったかな。あまりに観光地になりすぎている世界遺産のまち(ルアバパーン)に行ったからか?
妻:でもいまとなってはラオスもいい思い出。赤十字のサウナもよかった。それにインドに比べればラオスカンボジアも清潔だし秩序があった! 夜行バスはやめたほうがいいと思うけど。
夫:世界三大がっかりの一つと言われているマーライオンは例の世界一プールのホテルのおかげでがっかりから免れた感じがある。
妻:シンガポールはアジアの別世界ですねー。では、世界遺産としての一押しはタージマハルほか、インドの遺跡。次点がアンコールワット。国としてよかったのはタイ、ということでしょうか。
夫:よろしいと思います。
妻:明日からヨーロッパですね! インド脱出バンザイ!

(8月2日午前1時。インディラガンジー空港にて)