参院選、地方紙の評価は…その2

福島民報より抜粋
論説
参院選後の国政】地方と「ねじれ」解消を(7月23日)
 与党・自民党の圧勝に終わった。参院で、与党が少数の「ねじれ国会」は解消されたが、選挙期間中、地方との意見、主張の食い違い、いわゆる地方との「ねじれ」が目立った。今後、どう対応していくのか。安倍晋三首相の手腕に注目したい。
 短文投稿サイト「ツイッター」で、最も関心を集めたテーマは「原発」だった。自民県連は県版公約に「県内原発東京電力福島第一原発、第二原発)の全10基廃炉」を盛り込んだ。再選された少子化担当相の森雅子氏も「再稼働は新規制基準の審査を受け、地元の理解を得なければならない」と地元同様に全基廃炉を主張していく、と言う。
 安倍首相は参院選公示当日の福島市での第一声こそ「自民党原発安全神話に寄り掛かり、原発政策を推進したことを反省しなければならない」と述べた。しかし、その後、「責任ある立場として今(原発)ゼロとは言えない」と、再稼働に前向きな姿勢を示し、積極的に語ることはなかった。中略 県内10基廃炉を明言すべきだ。
 今回の参院選の勝利は、経済政策「アベノミクス」への期待感が勝因といわれる。安倍首相は…経済再生効果を自画自賛した。ばら色の夢を振りまいてるだけではないか。東日本大震災からの復興・復旧の途上にある本県は、それほどの恩恵はない。東電からの賠償金で暮らす被災者にとって、物価上昇は迷惑だ。狭い仮設住宅の上にさらに我慢の生活が強いられる。消費税増税も被災地には負担が大きい。
 自民は秋の臨時国会道州制推進基本法案の提出を目指している。都道府県を廃止して全国を「道」や「州」に再編し、中央省庁の権限を移す制度だが、地方との温度差は大きい。全国知事会議も基本法案の賛否を見送った。本県は新たな一極集中を生み、地方の多様性が失われる−として慎重な立場だ。
 選挙期間中のツイッターで「震災・復興」は8位と低かった。震災から2年4カ月。国民の関心は確実に薄くなっている。道州制が成立すれば、本県が抱える原発事故の廃炉、復興・復旧が取り残される可能性もある。中略 安倍内閣の真価が問われている。(佐藤 光俊)