運転者を守れ(1) 貸切バス新基準、8月から適用

業界紙トラベルニュースより転載
昨年4月の高速ツアーバス事故を受けて国土交通省がまとめた「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」。バス事業者、旅行会社を対象に各運輸局で説明会を開催している。バス運転者の労働時間を改善するのが柱の一つで、貸切バスで交替する運転手の配置基準などが詳説された。
運転者を守れ(2) 昼間運転は原則9時間500キロまで
高速・貸切バスの安全・安心プランは、先のバス事故の要因とされる運転者の過労、旅行会社とバス会社の契約のあり方の2つを主に取りあげ対策を講じたものだ。前者については「高速バスおよび貸切バスの交替運転者の配置基準について」を策定し、8月1日から新基準が適用される。
夜間は9時間400キロ上限 条件付きで500キロも
従来の交替運転者配置基準は(1)拘束時間が16時間を超える場合(2)運転時間が2日を平均して1日9時間を超える場合(3)連続運転時間が4時間を超える場合―だった。これらを満たさない場合は交替運転者をつけなければならない、というものだった。新基準はさらに「昼間」「夜間」「1日」に分け、細かく規定している。
昼間の運転は、原則1運行9時間までとし、週2回まで1運行10時間までとした。実車距離については1運行500キロまでとした。ただし、運行途中に1時間以上の休憩(1回20分以上で分割可)と乗務中の体調報告をバス会社の運行管理者に行った場合のみ600キロまで延長できる。高速道路ではおおむね2時間までの連続運転とし、さらに4時間ごとに合計で30分以上の休憩をとらなければならないとした。
夜間は1運行9時間までで、400キロを上限とした。ただし、運転者が運行前に11時間の休息をとっており体調報告やデジタコによる運行管理などの条件により500キロまで可能とした。運行中の休憩も2時間ごとに15分以上とることが基準として示された。
1日の乗務も原則9時間まで。1日に2つ以上の運行に乗務する場合(運行の間に連続1時間以上の休憩を入れる)の合計は600キロまでとした。ただし週2回まで。
なお、運行回数など運転者の労働時間については表(トラベルニュースat7月25日号1面)を参照。
運転者を守れ(3) 監査や処分も厳格化説明会で担当者は「一部の旅行会社のバスツアーで見られる早朝出発、夜遅い到着の行程は運転者の拘束時間に留意してほしい」と呼びかけ、無理な行程による運行を貸切バス事業者に強いることを禁止行為として旅行業法の制度の見直しを行っていることを話した。
運賃・料金制度の改革も 来年4月めど
また、基準遵守の監査や違反処分を厳格化する。監査は、バスの立ち寄り先である観光施設などでも行うことを予定している。
今後、来年4月をめどとして、運賃・料金制度の改革を実施する。具体的には、実態に即していない公示運賃・料金を改め、時間・キロ併用制に一本化することなどが検討されている。

(トラベルニュースat 13年7月25日号)