三宮巨大再開発:駅の北から波止場まで

日本共産党神戸市議 森本 真
兵庫民報2013年8月25日日曜日から一部転載
 
全国であいつぐ巨大な駅ビル
京都駅、名古屋駅大阪駅など政令市の玄関口(駅)で、大規模な駅ビル建設・再整備がおこなわれました。神戸市でも三宮駅JR西日本、阪急が新しい駅ビル建設を計画しています。
小泉構造改革が発端
 2002年3月、「都市再生特別措置法」を策定し、当時の首相・小泉純一郎を本部長として、既存の用途地域等に基づく規制を全て適用除外とする都市計画に係わる特別措置、民間の都市開発事業への支援措置、金融支援などを決めました。いわゆる大資本への規制緩和、財政支援です。その結果、大阪をはじめ駅前の再開発がはじまりました(京都は1994年の平安遷都1200年の記念事業の一環)。
神戸でもすでに
 神戸市は、2002年10月に「震災からの完全復興を果たし、魅力と競争力を備えた都市を再生する」として、「三宮駅南地域(約47ha)」と「神戸ポートアイランド西地域(約273ha)」を「都市再生緊急整備地域」に指定しました。
 「神戸ポートアイランド西地域」は、コンテナバース(港)を廃止し、神戸学院大学などの大学群を誘致。「三宮駅南地域」は、手始めに阪神・淡路大震災で全壊した旧神戸新聞会館をミント神戸に再整備しました。ミント神戸は、一階部分がバスターミナルという公共施設ということで、容積率400%を倍の800%に緩和し、店舗・映画館などの商業、事務所、会議室などのオフィスの複合ビルで構成されています。
倍以上の97haに拡大
神戸市は、今回5月13日に整備地域を三宮駅周辺・臨海地域に拡大。47haから倍以上の97haに拡大しました。三宮駅周辺では、三宮駅北側から元町駅の東まで。臨海部は国道二号線の南、みなとのもり公園(震災復興公園)から新港突堤までを拡大しました。

三宮駅周辺
JR西日本は、2013年3月13日、三ノ宮駅の再開発構想を盛り込んだ2017年までの中期経営計画で、「三宮ターミナルビル」(11階建て)を高層の複合総合ビルに建て替える計画を発表。事業費などは明らかにしていませんが、「災害時の避難場所になる」という公共性を訴え駅前広場などのあり方を検討しています。
  阪急は、7月4日、「ホテルや商業施設、オフィスを備えた複合高層ビルを建設する」方針を明らかにし、駅東側の「神戸阪急ビル東館」を建て替え、高さ百?以上に高層化する予定です。
 その他にも、駅南側の旧三井信託銀行・神戸三宮支店跡では、土地を所有する森本倉庫が、「森本倉庫三宮ビル北館」を建設しています。ここには現在六甲アイランドに本社を置く「P&Gジャパン」が移転する予定です。神戸市はこのビルの入居企業に対して、「都市間競争に勝つ」という名目で、家賃補助を行うことを決めています。

ウォーターフロント
 今回地域の拡大となったウォーターフロントでは、神戸市は、「今後も都市間競争に負けない選ばれる都市であり続けるためには、この都心・ウォーターフロントを、『デザイン都市・神戸』」を具現化するリーディングエリアとして新たな魅力と活力にあふれる地域にしていく必要があるとしています。
 そこで、都心・ウォーターフロントのあり方について、長期的な視点で議論を行い、2011年3月に「『港都 神戸』グランドデザイン」を策定しました。
 その結果、メリケンパーク西側の遊覧船乗り場「カモメリア」周辺では、相次いでホテルが進出しています。
 また、国道二号線の海側・中央区波止場町一番地の神戸第二地方合同庁舎、水上警察署などをわざわざ移転させ、眺望や歩行者導線などに配慮しながら、賑わいや憩いの空間を創出し、新たなアーバンフォレスト(オープンスペース)をつくろうとしています。
 矢田立郎市長は、2008年に出版した著書『衆知を活かす―明日の神戸のまちづくり』のなかで、「どこから見ても山が見え、海が見える、そんな景観にしたいと思っています。そのためには、旧居留地の南側の国道二号線沿いの建物に少し移ってもらわなければなりません。そして、国道を地下に走らせて、その上を広場にすることができれば、…」と述べていますが、このようなことが現実に進んでいます。