新たな思いで!

あの日から3年、被災者に寄り添った復興に力を!
あの日から今日で3年、“被災地”の復興は全くといっていいほどすすんでいません。世論調査で、震災や原発事故からの復興の道筋について、「見えていない」と回答した人が8割にも達しています。この結果は異常と言わなければなりません。「復興に全力を挙げる」「完全にコントロールされている」などの国の言葉があまりに空しく、どれだけ本気で取り組んでいるのか、誰のため、何のための“復興事業”かと疑問を呈さざるをえません。
 未だに、27万もの人々が避難生活を余儀なくされ、プレハブの仮設住宅では10万を超す被災者が不安な日々を送っています。そして震災で辛くも生きながらえた3000人も“命”が、その後“震災関連死”として失われています。
まさに異常な事態が3年経過しても続いているのです。
岩手、宮城、福島の3県の公営住宅の完成戸数は、その計画数に対して、それぞれ7.7%、2%、2.3%という信じられない数字です。完成戸数は3
県合わせてわずか967戸。建設がすすまない壁として、用地・人手不足、建設費高騰による入札不調があると言われています。復興事業に経済至上主義、利益第一主義がまかり通ってるのです。
こういう「事情」を「民間任せ」で放置せず、最優先課題として前に進めることが国、行政の責任であり、「全力を挙げ」なければならない国の仕事です。陳情に行った人々が、復興庁で目にしたのが東京オリンピックのポスターだったというのは、国のいう復興が何であるかを雄弁に語っています。
国は、原発を「ベースロード電源」とするエネルギー基本計画をまとめようとしています。これは、14万にも及ぶ県民がいまだに、帰還の見通しがたたない福島原発被災者のことを真剣に考えるならとてもできることではありません。全国で着実に大きくなっている原発ゼロの世論への真っ向からの挑戦としかいいようのないものです。原発再稼働に向けて安全神話の復活が着々と積上げられています。

東日本大震災が、この日本に突き付けたものは何か。日本の、そして国民一人一人のありようが問われています。それは、経済成長至上主義であり、科学技術万能主義ではないでしょうか。阪神淡路大震災から学んだもの、そして3年前の大震災から学ぶことは、経済成長、国の活力、企業の利益よりも国民一人ひとりのいのちと生活を如何に守るかということ、さらに原発被災から学ぶべきは、科学技術的に安全基準が満たされるなら再稼働などではなく、大多数の国民が体験的に、肌で感じる原発はゼロだという思いを最優先にすることでしょう。
国民が自然に持ってるこれらの価値観を積極的に押し出し、国の施策、社会のトレンドに仕立てあげることが今求められています。復興を経済合理性と超自然の科学技術期待の場にしないことが、人間復興を目ざして今なお続く阪神淡路大震災の復興のたたかいの最大の教訓ではないでしょうか。
以下は、旅行業界で働く私たちが19年前の体験をふまえて3年前に発したアピールです。「旅行は平和と安全が大前提の平和産業と言われています。この度の事態はそのことを証明して余りあります。被災地で観光に関わる方々の“絶望感”の幾分かは私たちも推察することができます。(中略)私たち観光に携わる者も、旅の仕事の原点にたって、被災地のみなさんに今何ができるかをしっかり考え支援の輪を広げることが、自らの仕事につながることだと信じて支援をしてまいります。」
この思いを3年の間実行してきたか、今日の日に改めて振り返りながら新たな思いで関わり続けたいと思います。