春闘「賃上げ」 中小と非正規に波及させよ

☆一握りの大企業のベアだけで経済活性化はできない!
☆消費税増税も足を引っ張るのは明らか!
☆「非正規労働者の固定化」も賃金低下につながる!
☆政治がやることー中小、非正規の賃金が上昇する政策!
☆「賃上げのお願い」「労使への介入」ではない!
下記は、琉球新報の社説。論点がいいです。

 ことしの春闘は、自動車や電機大手など多くの企業で6年ぶりの賃上げ(ベースアップ)回答が示された。連合によると、集中回答日の賃上げ平均額は2001年以降の最高水準となった。一時金の満額回答も相次いだ。
 景気の足かせとなると懸念されている、4月の消費税増税前の賃上げは歓迎すべき流れと言えよう。
 だが、全企業従業員の7割を占める中小企業に及ぶかは見通せず、全体の約4割を占め、賃金が低い非正規労働者約2千万人の待遇改善の道のりは険しく、手放しで喜べない。
 焦点は、賃上げが地方や中小企業、非正規社員に波及するかである。そうならなければ、一時的な好況感はしぼみかねない。  県内の春闘は今月下旬から労使交渉が詰めの段階に入っていく。県経営者協会の安里昌利会長はベアを検討する姿勢を示している。県内企業も可能な限り、賃上げへの積極姿勢を示してもらいたい。
 今春闘は、消費増税に伴う景気失速を避けたい安倍政権が、労使交渉に口を挟む異例ずくめの展開だった。
 「経済の好循環」を目指す安倍政権は、政労使会議を開いて賃上げを促し、復興特別法人税を廃止し、「賃上げ原資」と位置付けた。企業は利益の約2%分の税金が軽くなり、使える金が増える。
 政府は賃上げ実施状況を公開する方針も示して企業側に圧力をかけ、「官製賃上げ」とやゆされた。裏返せば、賃金交渉への政府の介入は見ようによっては「官製賃下げ」を招く危うさもある。労使が今春闘を検証し、教訓にすべきだ。
 1月の勤労統計によると、基本給などの所定内賃金は1990年代半ばから下がり続け、なお過去最低水準にある。
 円安が悪影響を与えた物価上昇と3%分の消費増税のダブルパンチにさらされる家計の負担は重い。今春闘の賃上げは、苦しい家計を補う力としてはまだ不十分だ。
 安倍政権は労働者にとって「アメ」である賃上げを迫る一方、「ムチ」となる雇用の規制緩和に前のめりだ
 労働者派遣法で上限3年と定める受け入れ期間を廃止し、働く人を入れ替えれば、派遣を無期限延長できるように改める方針だ。業績が低迷すれば、安易に非正規労働者を増やすことができてしまう。
 企業優位の「ムチ」にも厳しい目を注ぎ続けねばならない