「健さんへ」 

業界紙トラベルニュースが、「健さん」追悼の社説を掲載した。
 日本映画の大スターである高倉健さんが83歳で亡くなった。健さんといえば「網走番外地」や「日本侠客伝」などの任侠映画シリーズで人気を博し、その後は「幸せの黄色いハンカチ」「駅STATION」「鉄道員」などに出演。映画ファンのみならずロケ地を回る観光客が増え、ツアーにも組み入れられるなど我々の業界も大きな恩恵を得た。
 遺作となった「あなたへ」は、富山県岐阜県大阪府などでロケが行われ、山口県下関市長崎県平戸市などはこの映画を全面に打ち出したアピールも行った。
 特に兵庫県朝来市竹田城は、健さんの妻役の田中裕子さんが星めぐりの歌を歌うシーンで印象深いものになったこともあり、観光客が殺到。映画の上映前は3万人ほどだった年間来客数が、上映された2012年に23万8千人、翌13年は上半期だけで22万人に達した。
 あまりにも多くの観光客が押し寄せたことによって石垣の崩落や迷惑駐車など社会問題も起こったが「あなたへ」は健さんから我々の業界への置き土産のような格好になったことは間違いない。

 今回の訃報で、健さんが出演した作品の舞台を訪れるファン、観光客は増えるだろう。ご冥福を祈りながら、健さんへの感謝の思いは尽きない。
(トラベルニュースat 14年11月25日号)