宝田 明さんが再び戦争を語る!

東京新聞 3/3

 集団的自衛権を行使して、わざわざ外国に出かけて米軍の軍事行動に協力し、相手の恨みを買う必要はない。確かに国家は丸裸でいるわけにはいかないが、防衛に徹するべきだ。こちらが聖戦だと言っても相手も聖戦だと思っている。戦争は戦闘員だけの戦いではなく、無辜の民を戦火に巻きこんでしまう。
 小学5年のとき、旧満州中国東北部)のハルビン終戦を迎えた。旧ソ連軍が侵攻してきて関東軍武装解除。民間人は無政府状態の中に放り込まれた。自宅に押し入ったソ連兵に頭に銃を突きけられた恐怖や、同じ社宅の奥さんが暴行されるのを目撃した嫌悪感は絶対に忘れられない。
 傷つけられた相手への恨みは一生消えない。私は助かったが、愛する家族や友人を殺された人の恨みはもっと深い。逆に自分が傷つけれれば相手の恨みが残る。「やった」「やられた」が繰り返されていく。戦争とはそういうものだ。
 昨年の衆院選の公示翌日、NHKの情報番組に生出演した際、発言をアナウンサーにさえぎられてしまった戦争は絶対にしてはならず、国家が間違った選択をしないよう国民は選挙で意思表示すべきだ、と話す途中だった。さえぎられた真意は分からないが、戦前のように、言いたいことが言えない暗い世の中に戻してはいけない。