東日本大震災・福島原発過酷事故4年に思うこと…

本気で復興に取り組まない安倍政権は退陣を!
 東日本大震災、あれから4年が経過しました。あまりにも遅い復興の現状に心をいためながら、犠牲になられた方々に

哀悼の意を、被災者の皆様に激励の言葉をおくります。
 そして、今年は私たちが直接経験した阪神淡路大震災被災20年の節目の年です。“創造的復興”などといって、被災者、市民の生活を置き去りにした便乗開発中心の「復興」施策は、“視界不良”の神戸空港、閑散とした市営地下鉄海岸線、空き家だらけの新長田駅南再開発ビルに象徴される如く大失敗と言っても過言ではありません。公営借上住宅の当初期限の20年での「強制退去」問題も待ったなしです。

 一方で、住民のねばり強い運動が、「阪神」には適用されない問題はあるにせよ、被災者生活再建支援金を制度として成立させ、「東日本」で実施、さらに拡充の運動が受け継がれていることは、教訓として記憶にとどめていいでしょう。

さて、東日本大震災福島原発事故からの4年間、国と東電は何をしてきたのでしょう。被災地の現状をみれば、「阪神」と同様、「創造的復興」に名を借りた便乗開発中心で、被災者にとって一番大事な住宅・仕事など生活再建、まちづくりは大きく立ち後れています。

4年経って、避難生活を送っている被災者が23万人、本来臨時的な仮設住宅に8万人もの人々が暮らし、福島県では原発災害のため未だ12万人もの県民が県内外で避難生活を強いられ、原状復帰のメドさえたってないのです。
 たしかに、「阪神」にくらべ地震規模、広域性、原発事故が加わるという違いはあるにしても、被災地住民にとっては、江戸時代にあった“亡所”を国に押し付けられていると思わざるをえません。国と東電が復旧・復興本気になっていない証拠です。

 様々な情報に接して、国および東電の対応に怒りを覚えることがいくつかあります。
 一つは、復興予算です。震災後の3年間の復興予算25兆円が、被災地以外の自治体で復興と全く関係ない使い方をしている多くの例があり、さらに使い残しが実質9兆円もあること。復興予算の原資は、私たちが25年にわたって負担する復興税です。しかも、企業からの復興税は早々に取りやめたのです。
 二つ目は、これだけの未曾有の大災害なのに、敢えてたった5年を期限とした「集中復興期間」のことです。その間に国が、生活と生業の再建に全力で立ち向かっておれば、5年でも一定の「成果」は出たはずです。
 しかし、実際は、建設大企業などが儲かる便乗開発優先のため、4年経ってもほとんど変わらない、さらに事態が悪くなったなどの声もあるというのに、16年度で“予定通り”「集中復興」を打ち切ると国は明言しています。それにとどまらず、新たに策定するという「計画」では、被災地と被災者の自立を求め、国の負担を軽減することを隠していません。そんなことをすれば、復興はさらに遅れ行き詰まることは必至です。
 三つ目は、原発事故が全く収束どころか、「コントロール」されていないことです。次から次へと隠していた“不祥事”が明るみに出て、地元漁業者だけでなく、福島県民をはじめ、一部の原子力村にかかわる人々を除く日本国民と国と東電の信頼関係はなくなっています。
 このことは、事故後の国と東電の無責任な対応とともに、原発そのものが人類が制御できないものであることの証明というものでしょう。汚染水問題についても、安倍首相は、東電への指導を強め、東電任せにせず国も前面に出ると言います。この言い方は、何度も耳にしています。
 コントロールもできないのに、東電はじめ電力会社と安倍政権は再稼働に躍起になっているのです。一方で、首相は関連企業などを引き連れて原発の輸出のトップセールスを恥ずかしげもなく買ってでています。
 再稼働を強引にすすめるのは、原発輸出する国で1基も稼働していないことを購入国から指摘されてはこれからの原発輸出に差し障りがあるからに他なりません。
 ドイツのメルケル首相が先日来日され、日本のトップにふさわしい高邁な思想も哲学もない、金儲けと軍事増強だけが行動規範の安倍首相のお粗末さ、危険さがきわだちました。
 メディアもほぼ一様に「復興の遅れ」や「原発の現状」までは指摘しますが、なぜ? 何が原因? と言うことには、あまり追求せず、まちづくりなどの“成功例”などを繰り返し報じたり、原発事故の影響をごく地域的に“矮小化”しているように思えます。メディアの責務として、復興の遅れの責任はやはり国と東電にあることを明確にすべきです。
 特に大手メディアは、復興事業の国庫負担を減らし被災地の負担を増やし、被災者の自立を求める動きを強める安倍政権と気脈を通じているのではと疑いたくもなるほどです。メディアが本来の責務に基づいた報道に立ち返ることを強く望みます。
 そして、安倍首相を早急に退陣させることが国民と日本にとって、イヤ世界にとっても今や喫緊の課題になっています。復興、原発、沖縄、安保、社会保証など矛盾が噴き出しているあらゆる課題でたたかいの共同が必要でしょう。(T.MATSUOKA)