翁長訪米団レポート4

下記はNew Diplomacy Initiative(新外交イニシアティブ)のFBをシェアさせていただきました。
【沖縄訪米2015 ワシントン三日目・6月2日】



 ロビー開始の2日目は4人の下院議員、7人の議会補佐官と2件のシンクタンクとの面談を行いました。前回記載した通り、米国議会では国防権限法(National Defense Authorization Act)が下院を通過し、その条文に「辺野古が唯一の選択肢」という条文が入っていたことから、今回のロビー活動の中心はこの条文を取り除くことでした。最終的に40人近い議員・補佐官に丁寧に話を聞いている中で、さらに細かく、状況・手続きなどが分かりましたので、ご報告します。
 国防権限法は、アメリカの軍事関係の予算を決める法律で、毎会計年度ごとに作成されます。普天間海兵隊のグアム移転予算等についても、これまでこの法律によって凍結などされてきました。
 下院では先月既にこの法案が通っています。この法案の作成過程(下院)ですが、一般的には下院の軍事委員会付きのスタッフが起案します。起案の過程で委員会の各メンバーから要望を聞き、それを反映します。また、国防総省からも非公式な働きかけや、会計関係の行政組織を通じての公式な提案があり、これらの内容も反映されながら一つの法案が作られていきます。
 なお米国では、下院と上院は異なった法案を審議するため、結果、両院が異なった法案を通過させることが多いです。そこで、両院協議会(Conference Committee)を開催し、法案をすり合わせ一つの法律にして、再びそれぞれの院に戻して本会議で可決して成立、となるとのことです。
 この国防権限法は、本来であれば、6月には上院も通過して7月に両院協議会、夏休みの前には成立することが想定されているが、この3年くらいは11月くらいまでもつれ込んで予算の成立ができなくて困ることから、両院の軍事委員長(与党)と筆頭理事(野党)が4人で集まって妥協案を提案してそれで成立させている、との話も聞きました。
 我々の一つの疑問は、誰が「辺野古が唯一の選択肢」という条文を入れたのか、という点でした。国防権限法は米国の軍の活動をすべて規定する極めて長いものであり、面談した議員や議員補佐官も、私たちが話をするまでこの条文の存在については知らない方ばかりでした。
 面談の中では、この条文を入れるように働きかけたのは、国防総省だろうという意見が強かったです。もっとも、辺野古移転に強く関心を持ち賛成をしているグアム選出のボルダーリョ議員かもしれません。また、その後ろには日本の外務省からの強い働きかけがあったのだろうとも推測されます。
 この法案については6月3日から上院で議論が始まっていましたが、上院で確認したところ、上院の法案では、この条文は「意識的に」外したとのことでした。その理由として聞けたのは、国防総省に他の選択肢も残すべきことと、このような細かい点についての決定を議会が行うべきではないことの2点でした。訪米団一同ほっとしました。
 もっとも、これから両院協議会が行われれば、下院の案が最終案となることも考えられるため、手を抜くことなく働きかけを続けていくことが極めて重要です。
 上院議員からは「上院ではすでに法案に入っていない。今一番ロビーをするべきは、下院の軍事委員会の補佐官に対してだ」と言われました。改めて、我々のロビー活動が、大変に的を得ていたことが分かった結果となりました。
 翁長知事は、辺野古移設反対を大きく訴えるという方針で訪米活動を行っておられたため、それを支える糸数議員や首長、県議を中心とする訪米団で、できるかぎりたくさんの方にお会いして面談を行い、集中的に法案の改定を働きかけました。
 近く、最終日、6月3日の報告も掲載します。沖縄訪米団は全日程を終了しておりますが、NDでは今後、ワシントンに鈴木達治郎氏をお招きし、「日米エネルギープロジェクト」の調査に入ります。引き続きご注目いただければ幸いです。

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<お願い>
今回のNDの訪米は?沖縄訪米団のサポートと?原子力エネルギーを巡る日米関係の調査を目的とするものです。?は、NDの「日米エネルギーチーム」で、原発をめぐる日米関係の調査です。3・11以後の日本の原発再稼働のために米国がどのような影響を日本に与えてきたのか、再処理についてはどうか等、米国の政策決定権者たちにインタビューを行い、帰国後報告書をまとめる予定です。
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