2千万人見えた 1−7月の 訪日旅行者1100万人突破

業界紙トラベルニュースより
 日本政府観光局(JNTO、松山良一理事長)が8月19日発表した7月の訪日外国人客数(推計値)は前年同月比51.0%増の191万8千人。今年1―7月の累計は早くも1千万人を突破、1105万8千人となった。過去最高の1341万人を記録した昨年に比べて毎月3―5割以上増加しており、このまま推移すれば当初見込みの1500万人を大きく上回り2千万人台に届きそうな勢いだ。
7月は51%増で単月過去最高 7月単月の191万8千人は、過去最高だった昨年を64万8千人、今年4月に記録した年間を通じての単月過去最高も15万3千人上回る好調ぶり。JNTOはその要因として、夏休みシーズンの到来と継続的に行ってきた誘客活動が奏功したことに加え、山口市で開かれたボーイスカウトの世界大会などが寄与したことを挙げている。
中国の伸び著しく
 市場別では主要市場のうち、中国、台湾、香港、インドネシアが単月としての過去最高を記録。韓国やタイ、米国、フランスなど15市場が2ケタの伸びで、7月単月の過去最高となった。
 なかでも中国の伸びは著しく同105.1%増の57万5千人。全市場を通じて初の50万人台突破で、6月に記録した全市場を通じての単月過去最高を早くも更新した。夏休みの訪日家族旅行人気とクルーズ船の寄港数増加などが要因で、中国各地で訪日ブームが到来しているようだ。
 韓国はMERSの影響が払しょくされ、同37.1%増の34万4千人。アジア圏だけでなく同18.4%増で9万8千人となった米国をはじめ欧米各国からも訪日への関心が高まっている。
 JNTOでは夏休みシーズン後半となる8月も、東アジアではクルーズ船寄港や日韓航空路線の運航再開、東南アジアではシンガポールやフィリピンで記念日休暇があることから増加が見込めると予測している。
 1―7月までの累計は同46.9%増とこれまでの増加ペースを維持。このペースでいけば年間累計は1970万人と2千万人に迫る勢いだ。
乱れるマナーへの対応が課題
一方で、急増する外国人観光客の課題も浮き彫りになってきた。
日本の習慣に合ったマナー教育を
 LCCの路線拡充とともに中国などアジア人観光客の増加が著しい大阪市。道頓堀や心斎橋のミナミは中国人らであふれ返っている。百貨店やドラッグストアは爆買いしそうな商品を前面にし、日本人買い物客の肩身が狭い。飲食店では、他店で購入した商品をテーブルに堂々と広げ食べ始める観光客の姿もみる。ホテルでは枕やハンガーを含め備品を根こそぎ持って帰ってしまう。
 関西インバウンド事業推進協議会の平岡佳明さんは「爆買い対応に軸足を移しすぎると、以前の尖閣諸島問題のようなことがあれば大打撃を被ることになります。我々が海外に行って恥をかいて学んだように、彼らにも日本の習慣に合ったマナー教育が必要です。そうしたマナーを含めた観光を日本の魅力としてアピールする時期にきています」と指摘する。