大歩危・祖谷いってみる会が15周年 旅館5軒連携し地域振興

業界紙トラベルニュースより
観光圏軸に“世界の秘境”目指す
 大歩危・祖谷いってみる会は、2000年10月に設立。今年で15周年を迎えた。この間、行政との連携事業や観光庁から認定を受けた「にし阿波〜剣山・吉野川観光圏」事業、インバウンド誘客と様々な取り組みを行い、成果を出してきた。この15年間を振り返り、今後の同会の方向性を紹介したい。
 大歩危・祖谷いってみる会の中心メンバーは、大歩危・祖谷地区のホテル5社。これは発足当時から同じで賛助会員は27社で大歩危・祖谷の観光施設のほか、タクシー、バス会社、酒蔵や地酒・飲料メーカー、大手のビールメーカーが入って構成されている。
 同会では設立当初「大歩危・祖谷温泉郷」という造語を掲げ、旅行会社のパンフレットにはすべてこの名称を使ってもらい「宿泊ができる温泉地」というイメージをつくりあげた。
 イベントとしては行政とともにウオーキング大会シンポジウムを毎年実施。地元の酒屋や醤油メーカー、味噌店とコラボしお酒をベースとした「お美姫鍋(おみきなべ)」という郷土料理も開発した。
 こういった取り組みは30万人のラインを上下していていたかずら橋の渡橋人数が常時35万人前後で推移するようになるなど一定の成果を生んでいる。
 また「にし阿波〜剣山・吉野川観光圏」(08年からの継続事業)という名称で観光庁から地域認定を得て現在は三好市美馬市つるぎ町、東みよし町の2市2町の行政と民間がタッグを組んでそれぞれの特徴を生かしつつ、プロモーションを展開している。

奥祖谷二重かずら橋
 観光地域づくりプラットフォームとなる組織として「一般社団法人そらの郷」を作り、その地でしかできない旅行商品を造成し、各旅館でも販売を実施。今後の展開としては観光圏の目的である「住んでよし訪れてよし」「広域での観光地域づくり」「観光客目線の組織」「世界水準の品質制度」などに取り組み、最終ゴールである「日本の顔となる観光地域づくり」が目標だ。
 インバウンドについては東洋文化研究者のアレックス・カーさんの協力も得てインバウンド客誘致に取り組み、14年の外国人宿泊客は6,186人で、3年連続で前年実績を上回るという結果を残した。

東祖谷落合集落古民家
 これからも観光圏を軸に「千年のかくれんぼ」と銘打ったブランドで「天空の村かかしの里」「茅葺き民家と石垣の里」「民俗芸能を守り抜く里」「伝説の里」といった項目に加え、祖谷そばや茶といった食にもこだわった取り組みで世界に通用する観光地を目指す。
 四国の秘境から世界の秘境へ」を合言葉に国内外の観光客に情報発信を行っていく方針だ。