「渋滞予報士」による渋滞のアレコレ

提供:交通情報サービス株式会社
 ゴールデンウィーク(GW)やお盆、年末年始などの長期休暇。ふるさとへの帰省や旅行、ドライブなどで高速道路を利用したら、とんでもない渋滞に巻き込まれて車中で何時間も過ごしてしまった――。誰しも一度はこうした経験があることでしょう。
 家族や友人との楽しい時間も、渋滞のせいで水の泡になってしまったら、元も子もありませんね。しかし、「そもそも渋滞はなぜ発生するのか」「渋滞を防ぐにはどうしたらいいのか」「渋滞予測はどのように行われているのか」などについて知っている人は少ないのではないでしょうか。
 要因の8割は交通集中、その多くが「サグ・長い上り坂」で発生

 2015年の1年間にNEXCO東日本管内で発生した渋滞の実に78%は「交通集中」によるもの。そして、そのうちの63%は、道路が下り坂から上り坂に変化する凹部(サグ)や長い上り坂で発生しているといいます。
 渋滞の多くは道路が下り坂から上り坂に変化する凹部(サグ)や長い上り坂で発生する(画像出典:NEXCO東日本)。
 道路の勾配の変化を意識せず、下り坂でアクセルを緩めた状態のまま上り坂に差し掛かると、クルマは自然に減速してしまいます。交通量が多い状況で、このような車両が存在すると、後続車は追突を避けるためにブレーキを踏まざるを得なくなります。この速度低下は上流側(=車両の後方)に「増幅しながら伝播(でんぱ)する」ことが知られているそうです。
 「渋滞に巻き込まれないためには、日時やルートをずらしていただくことが最も有効です」。これと同時に「自分が渋滞の原因にならないように気を付けてほしい」とのことです。
 そのためには、サグで速度を落とさないことに加え、サグの渋滞は走行車線よりも追越車線で発生しやすいため、走行車線にスペースがある場合には、走行車線を利用することが大切といいます。
 そして、最も重要なことは、事故を起こさないこと。「事故により渋滞規模が増大することも多いため、ぜひ安全運転を」と呼び掛けています。
「渋滞予報士」ってどんなことをする仕事?
 「渋滞対策」で主なものとしては、付加車線やペースメーカーライトが挙げられます。付加車線は、渋滞しやすいポイントに車線を増やして交通容量を拡大する対策で、付加車線の設置による渋滞緩和効果の算出や検証などを担当しています。その一環で2016年3月には、大渋滞発生ポイントのひとつとして知られる東北道下り・岩舟JCT〜栃木IC間で約5kmの登坂車線(北関東道からの合流地点)の運用が開始されています。
 ペースメーカーライトは、トンネル壁面にLEDライトを設置し、進行方向に光が流れて見えるよう順次点灯させるシステムです。速度の低下を抑えて渋滞を未然に防ぐとともに、渋滞発生後も、速度の回復を手助けする効果があるといいます。
 そもそも、渋滞予測は「いつ、どこで、どれくらいの長さの渋滞が発生するか」を予測するもので、1987(昭和62)年にスタート。その目的は「旅行計画立案の参考にしていただくとともに、需要を分散して渋滞を緩和すること」だそうです。
 渋滞予測は当然、GWなどの「交通混雑期」以外も行われています。予測という以上、気になるのはその“的中率”ですが、加藤さんによると、渋滞予測の目的は渋滞緩和であり、的中率が100%ということは、渋滞予測としては不十分でもあるといい、「渋滞予測を参考に渋滞を避けていただくことで、渋滞緩和につながることが理想」とのことです。