終戦・被爆60年の、節目の日に旅行業界から…Ⅱ

日航ジャンボ機墜落から20年、阪神淡路大震災10年、沖縄へり墜落1年ー 
4.建前と本音…その2
 もう一つの問題は、実質的には経済に大きな力を持ち本来は庶民の立場に立つべき中小企業群の中で、「政治経済界の本音」に対して、本音では疑問、不満に思い反発もしながら、それこそ建前として共感し同調する(せざるを得ない?)気分が大きく存在していること。
 それが経営規模や政治とのかかわりでの圧倒的な差異があるにもかかわらず、自分たちも含めた企業社会での譲れぬ一線として、「企業だから利益第一主義は当然や…」などが相互理解となっていることである。企業だから儲けなければというのでなく、特に中小企業は、消費者の立場に立ってしっかりした仕事と満足を提供することを第一とし、利益第一の大企業を消費者とともにたしなめる方向で本音の声を上げることでなければと思うが… 。
 事故、トラブル続きのJRや航空会社に対するマスコミの論調にも、「利益を重視することは否定しない」という言い方で安全第一、社会的責任の棚上げを事実上免罪する傾向がある。これも、国民のたたかいで、マスコミをして公共交通は利益拡大を追求しない、させない。一にも二にも安全と社会貢献で、それが経営の安定的継続につながるという理念と戦略であると言わしめなければならない。

5.JT○やJR○○の横暴、建前としての消費者・中小業者尊重
 「国鉄分割民営化」で、膨大な負債部分だけ、国民に押し付けて身軽なスタートを切らしてもらったJR6社。その中でも最もおいしい部分、日本の大動脈を引き継ぎ、超優良鉄道会社として今君臨するJR○○が、まさに建前とは正反対の横暴を重ねている。
 中小旅行業者との取引を来年3月末で打ち切ると有無を言わさず通告し、大手旅行社とは引き続き取引は続けるという。JR側よりその利便性を売り込み、現在、1,000軒もの旅行業者や出張が多い一般企業に展開している『お届け端末』というJR切符の発券機がある。その売上比重が、最近の「携帯などIT機器」からの売上の急成長で相対的に下がり、コスト高も伴いIT時代の消費者のニーズに合わなくなるので廃止する。その代替措置は特に考えていない、とする。
 中小旅行業者もそれぞれの地方でJR○○と何度も話し合いを持ったが方針は変わらない。業界としても、隊列を大きくしマスコミを通じて世論にも問うて行く方向に進もうとしている。さらに、“公示の割引団体運賃”で乗車できる新幹線のぞみの団体枠(各列車にあらかじめ確保されている団体客用の車両や座席枠)が廃止しようとする動きも見られる。ビジネス客や個人客で十分で割引の団体客はもう要らんということか!
 世界的にも有数の旅行社であるJT○は、中小旅行業者との今年春の契約更改で、差入保証金の増額や連帯保証人の設定などで極めて高飛車な提案を強行してきた。信用不安のある旅行社との取引は切り捨てる優良業者囲い込み戦略とされ、全国の多くの中小旅行業者から反発を喰らったが少なからぬ契約が解除された。
 JR切符に限らず、大手旅行社が売り出す旅行商品のかなりの部分を消費者と結びついて直接的には中小旅行社が販売している実態があることは業界では常識である。この数でも圧倒的多数の中小旅行社をないがしろにして、何がお客様の利便性か、何が消費者のニーズか!ここでも中小旅行業者が自ら声を上げなければいつまでも建前止まりである。