初めてのドイツその5

5日目 10月6日
訪独で一番訪れたかった『ノイシュヴァンシュタイン城』へ。家から日帰りの距離では無いので、フュッセンに一泊してミュンヘン観光をして戻ってくる。
出発直前まで電車に乗り二人で向かう予定だったが、不慣れな二人を心配しておじさんがおばさんにお供して上げる様にと配慮してくれ、車で行くことになった。朝から雨が降り、アウトバーンを走る車からあがる水しぶきで大変見えにくい中、高速で車を走らせていた。目的地に近づくにつれ、今までのドイツの田舎風景とは違う険しいアルプスの山並み薄っすらと見えてくる。その山の中腹に白い綺麗な『ノイシュヴァンシュタイン城』が天空に浮かんでいるように見えてきた。
 先にルードヴィッヒ2世の父が築いた『ホーエンシュヴァンガウ城』を見学。黄色のネオゴシック様式の城はとても可愛らしい外観です。こちらはツアー客が少ないためガイドフォンを片手にゆっくりと一室ずつ見回せ、数々の素晴しい調度品を見ることができた。
 次に、急な山道の上り坂を馬車に乗り『ノイシュヴァンシュタイン城』へと向かった。山裾から見る城は、思ったより小さいなと感じていたが、城の入口に来てみるとカメラのファインダーに収まりきらないほど大きく、白鳥が羽を広げているかのように優雅で綺麗な白亜の城に圧倒された。先ほどの城とは違い、多くの観光客が押し寄せるこの城には、日本人団体客がドッと詰め掛けていた。中でも関西からの阪急T社の中年女性一行はガイドフォンの話が聞こえないくらい大声で勝手な感想を話すなど大変マナーが悪く、ガイドも順番を抜かして客を入場させるなど、同じ日本人としてとても恥ずかしく残念な気持ちで一杯になった。
 城内はルードヴィッヒ2世が好んだワーグナーのオペラの名場面が描かれ、オペラを上演するための舞台もある。金ピカの部屋あり、洞窟を真似た廊下ありと居住するにはチョッと?と頭を傾げてしまう装飾もある。しかし、城から見るシュヴァンガウの風景は、小雨で視野が良くない状況でさえ山・湖・町が見渡せる絶景。森を歩きながら下山し、遅めの昼食をレストランでとった。外気は12度ぐらいだったので、バイエルンの名物“白ソーセージとグリューワイン(ホットの赤ワイン)”で体を温めた。シナモン風味にレモンが入ったワインは とても飲みやすく、ソーセージを引き立てどちらもおいしかった。
 今日の観光を終え宿に向かう。道が工事中で寸断され、ようやくたどり着いた宿は、B&Bスーザンハウス。日本でいう小さめのペンションで私達の部屋は、空間を上手く使った屋根裏の4人部屋にシャワールーム付。3人で100ユーロ(一泊朝食付)。
 荷物をおき、夕食のレストランを探しに駅前へ出掛けた。土曜日だったので用品店は早々に閉店し、空いているのはレストランと観光客用の土産物店だけだった。小さな街をブラブラしながらガイドブックに載っていたレストランへ入る。地ビールで乾杯し、バイエルン地方の名物パスタ“ゲーゼシュペッツ、旬のキノコや鹿肉が入ったシチュー”など食べる。付合せのキャベツを赤ワインで煮詰めたザワークラフトはこってりしたメインの口直しにとても合っていた。
 雨上がりの月夜の中、少しほろ酔い気分でおしゃべりしながら宿へ戻って行った。(A.TANIOKA)