50周年記念誌“PRIDE”より

KokusaiTourist2008-01-20

阪神・淡路大震災を社員が一丸となり乗り越え、再生を果たした軌跡   その5最終回 共同の方向に確信をもって…!


夏の繁忙期、全員で乗り切る
 1月以降、復旧活動、必死の営業活動をすすめ、社員は心身の疲労でクタクタになりながら夏を迎えた。
例年、7、8月は全国的な大会、集会、研究会など大規模な行事が多く、当社の最繁忙期であった。この年、観光旅行の受注はなくなったが、このような会議・集会は中止になることなく開催された。
主な取扱団体として、1.原水爆禁止世界大会広島集会(京都、兵庫、和歌山代表団)2.日本母親大会東京大会3.全国女性のつどい(広島開催)4.全国養護教諭サークル協議会全国研究集会(尼崎開催)5.京都市教組沖縄平和ツアー 6.京都府商工団体連合会 7.教職員夏季研修旅行(神戸市を中心に33校取扱)など。
最繁忙期を全社あげての体制と構えで乗り切ることができた。いずれの仕事もお客様から感謝され、社員は大いに励まされた。


兵庫県旅行業協同組合の取組み
 県下の中小旅行業を組織する兵旅協は、自らの使命の自覚のもとに、精力的に活動した。復興対策委員会を設置し、受入側施設に対して支払い猶予を申し入れ、11項目の要求を県に提出した。
さらに、激甚災害組合員懇談会を開催し、神戸集客企画の構想など議論した。理事を務めていた松岡はこれに積極的に参加。とりわけ、業法改訂問題では、中央の業界団体や運輸省(当時)に質問状を出し、兵旅協の楠本専務理事(当時)ととも、に上京し、震災被災の現状を訴えるとともに業法問題で中小旅行業の立場からの主張を展開した。
 その年の暮れから96年にかけて神戸への集客企画「おいでよ見てよ元気な神戸」を全国に向け発信した。松岡が中小企業家同友会に企画の説明に訪れたところはNHKが取材し放映された。


中小4社共同の取組み
 1988年11月に発足した「県民のための旅行社を育てる会」は、旅行業者とその労働者、消費者である利用者とで構成し、発足以来、「安全・快適な旅つくり」をめざした活動をすすめてきた。この会の趣旨を発展させ、九五年には、親交のあった大阪、愛知の同業者に呼びかけて活動を広げることにしていた。
九六年に改訂施行が予定されている旅行業法改訂への対応が当面の問題であった。勉強会は数度にわたり開催され、運輸省に対し、意見書をあげる準備をしていた矢先の被災であった。
これらの仲間から被災の見舞いを受け、各社のノウハウを生かし、良質な旅を提供することで共同していくことにも議論は発展。この年の10月には、4社共同企画として、京阪神の労組役員などの皆さんの協力を得て沖縄平和の旅を企画、実施するに至る。


阪神・淡路大震災1周年メモリアルデー
 震災満1年にあたる96年1月17日には、阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議などの主催で、「人間復興」1・17メモリアル行動が行われた。
メモリアル行動では、6000人を越える犠牲者への冥福を祈り、大きく立ち遅れていた「住宅」「雇用」「営業」「社会保障」や住民本位の復興問題の実態が明らかにされた。
この行事は、その後、毎年開催され、国ツーは第一回からずっと、全国からの参加者の宿泊や受付など事務局業務に協力してきた。


これで5回に亘った連載をひとまず終了致します。震災の経験とそのごの私たちのあゆみは創業50年を経たこれからも、仕事とは? 旅とは? 企業の社会的価値とは?など、国際ツーリストビューローの原点を揺るぎなく指し示すものでありつづけるでしょう。ありがとうございました。