日本航空、安全・安定運航維持、

KBほか旅行子会社債権も保全−2年で黒字化へ
web版業界紙トラベルビジョンより[掲載日:2010/01/20]
 日本航空(JL)と日本航空インターナショナルジャルキャピタルが1月19日に会社更生法の適用を申請したことを受けて、企業再生支援機構は事業再生計画の骨子を発表した。中心となるのは安全かつ安定的な運航の確保で、前提として商取引やリースの債権を保護したほか、マイレージ株主優待券、政府や主要金融機関による継続的な対応を盛り込んでいる。施策の方向性としては、「安全性の更なる向上」「機材の小型化、効率性向上」「人員・組織体制の効率化、柔軟性の抜本的向上」「現場基点の意思決定の早い組織体制の確立」を列挙。こうした取り組みにより、2012年3月期に黒字化をはかり、2013年3月期に売上高1兆3585億円、営業利益904億円の達成をめざす。
 JLの現状について企業再生支援機構代表取締役専務の中村彰利氏は、「大型機材の大量保有」「不採算路線の維持」「人員余剰・硬直的組織体制」「意思決定の遅滞」によって需要低迷に対応した事業規模と組織体制の調整ができない状態と指摘。
 こうした問題意識の上で、計画では機材の小型化、不採算路線の撤退とアライアンス効果の追求、人員・組織体制の効率化、現場を主体とした組織体制の確立に取り組む。機材の小型化では、ボーイングB747-400型機とマクドネル・ダグラスMD-90型機をすべて退役させ、中小型機やリージョナルジェットなど新鋭機を積極導入し、燃費効率を向上するとともに機材の供給力に柔軟性を持たせる。
 また、不採算路線の撤退は「大胆」に実施。収益性が見込める路線は新規開設を実施しつつ、全体では撤退を進める。2009年4月時点と比較して、2011年4月には国際線を93路線から79路線に、国内線を136路線から119路線に削減。一方、アライアンスを活用することで路線網を確保する。
 人員・組織体制の効率化では、グループ全体で嘱託社員、派遣社員などを含めて約5万2000人のところを、供給量減少にあわせて約3万6000人に減少。各種手当の見直しや、年功序列型の賃金体系も抜本的に見直すことで人件費削減をはかる。現場主体の組織体制では、環境の変化に応じて柔軟かつ適時適切に意思決定できる組織づくりをすすめ、同時にそれを支えるITシステムなどへの投資も実施する。また、現場で成果をあげた人材が登用される人事制度への変更なども進める。
 このほか、旅行会社にとって懸案のボリュームインセンティブキックバックなどは、支店レベルでの口頭ベースの契約を含めて商取引債権として保護。加えて、ジャルパックやジャルツアーズなど子会社のコミッションなど債権も保全する。ただし、再建計画を進めるなかで、そうした契約関係についても精査していく方針という。
 なお、コア事業への集中のため、ホテルや旅行など航空事業に関連の深い事業以外の子会社を売却・清算し、資源を集中する。また、年金制度については、現役社員と受給権者の3分の2の同意を得られたことから、厚生労働大臣の認可が得られれば、同意を得た案に沿って減額改定する方針だ。