アルジェリアからその2

KokusaiTourist2010-03-06

アルジェリア在住の友人竹本元一氏(労協 国際ツーリストビューロー組合員)からアルジェの現状や彼の思いを伝えるメールが届きました。本人の了解を得て2回に分けて掲載致します。   


アルジェリアの経済:将来の展望
 1962年の独立以来、アルジェリアの国語はアラビア語に変わりました。独立前にフランス語で教育を受けた老人層の人たちはアラビア語を解しません。独立後アラビア語で義務教育をうけた青年層はアラビア語を自由にこなせますがフランス語能力の低下は著しく、現在は文化的過渡期であることは認めざるを得ません。ちなみに山岳部のカビリヤ族にとってはフランス語もアラビア語もどちらも外国語である以上どうでもいいことで、それよりもカビリヤ語を認めてもらいたいという闘争をしております。それに向かって殺害テロを犯すイスラム過激派たち。文化というのは血を見る恐ろしいものです。
 ヨーロッパ、アメリカ、日本も含め、高齢化社会を目前にしている老人国家のわれわれに比べ、アルジェリアは35歳以下が人口の60%近くになっており天然ガス、石油を有し、他にサハラ南部では最近地下水が発見され、灌漑用水を開発させれば農業の発展は飛躍的なものになります。ところが、それらの開発のためのノウハウがないので、外国との経済発展協力が必須です。
アルジェリアはどこと協力体制を敷くべきか?
 前述のフランスとのいきさつから、言葉の不自由はなくてもフランスとは手を結べません。過去の過ちは許すことはよいことですが、忘れてはいけません。(残念ながら日本ではメディアがアメリカに対するそれを忘れさせている。)
アメリカとはイスラエルからの難民のパレスチナ人を支援している政策からイスラエルの後ろ盾のアメリカとは協力は難しい。
というと、最も協力者として理想的な経済大国は日本なのです。
 いつもお客さんをアラビア諸国へ案内すると皆さんが驚くことは、何故アラビア人達が日本人に対して親切であり友好的であるか、日本に興味を抱いているか、なぜ我々日本人はアラビア人達から好かれているか、ということです。私は、理由は2つあると思うのです。
 彼らは、イスラム教徒でない我々日本人は、決して同胞とは思っていないでしょう。ですがアメリカに立ち向かい、広島・長崎でひどい目に会ったかわいそうな国という同情。それにも負けず努力をし、アメリカと対等の経済力を持つようになったという憧れ。この同情と憧れが混ざりあった意識だと思うのです。
 石油・天然ガスを有し、これからの農業発展が見越せる豊かな国でありながら、政治の汚職・腐敗などのため国民一人一人が貧しい国アルジェリア。食品のほとんどを輸入に頼っており、資源もないのに国民の生活水準の高い国日本。
 豊かな貧しい国アルジェリアと貧しい豊かな国日本ががっちりと手を組めば素晴らしい協力体制を創造できると思うのです。

密接なアラビア日本間の物質的交流と人的・文化的交流の皆無
 アラビア諸国に行けばハイテク、自動車などばかりでなく、ドバイやサウジアラビアの男性がきている白い長服の生地を調べると大阪で製造されたものなどが多い。日本でのたこ焼き。今は中国産のブヨブヨのが日本へ多く入ってきているが、それまではいっていたコリコリした美味しいタコは日本と漁業協定を結んでいるモロッコから入っていた。
 物流では密な関係なのに人的な交流、文化的な交流が皆無なのは否定できない。サミット首脳会談の参加国となっている日本へはアラビア各国の報道特派員が日本へ送られ、日本のことは秋葉原の殺害事件から、岩手・宮城の地震のことまで報道されている。報道メディアの超後進国日本ではアメリカ以外の国で何が起こっているのかはさっぱりわからず、日本国民を無知にしています。
 私の勤務しているアルジェリアの現場は日本から新任してくる人たちはどういう情報を得てきているのかは知らないが、アルジェリア人に対する態度が未開発後進国の無知無能な人たちと蔑視しているのが現状で大変残念なことです。植民地主義の被植民者に対するような態度をとっている者さえおり時代錯誤甚だしい光景も見受けられます。憧れの日本人達と職場を共有し、日本の企業で働きたいと夢を抱いてきた若者たちがいざ雇われ日本人と付き合ってみて、幻滅しているのが実情のようです。
 我が国の企業、特に土木、建設業界では、既にすべて造り上げられている日本国内市場より、こういった未開発の国との協力に頼らねば生き残れないという認識、こういった国の若者たちに対して蔑視する態度を避け、お客さんであるという意識を持つのも必要だと思うのです。
 人件費が安いという利点から、アルジェリアもしくはチュニジアに製造所を設け、こちらの港からフランス、スペイン、イタリアなどへ輸出する体制を敷き事業を興したい企業があればご一報ください。
尚、私の愚妻はフランス人で、私自身フランスでの2016年までの滞在・労働許可書を保有しておりますのでお力になれます。
アラビア・ヨーロッパとの経済・文化交流についての皆様の御意見をお待ち申しております。

takemotomotoichi@yahoo.fr
携帯:213(アルジェリア)661 92 03 55  竹本 元一