普天間問題とマスコミ

多数のマスコミが鳩山首相民主党連立政権の責任を追及してはいるが…
29日の各紙社説の一部を拾ってみた。
 基地問題を政局としてしか見ていないのも多数のマスコミで、ここに来て未だ、基地の無条件撤去の声が沖縄を始め多くの国民に、そしてそういう主張を展開する政党もあることを無視するのは何故か!?

 私たち旅行業に携わる者も、声を大にして米軍基地の無条件撤去をアピールしていきたい。
毎日新聞
 私たちは、鳩山首相が政治の最高責任者の座に就き続けることに大きな疑念を抱かざるを得ない。最大の政治課題、普天間問題での一連の言動は、首相としての資質を強く疑わせるものだった。これ以上、国のかじ取りを任せられるだろうか。来る参院選は、首相の資質と鳩山内閣の是非が問われることになろう。
 同月のオバマ米大統領来日にあわせ、辺野古移設の詳細で日米合意しても、実現の保証はない。「世界一危険な基地」普天間が継続使用される最悪の事態が現実味を増している。普天間問題への対応は明らかな失政である。その責めは鳩山首相自身が負うべきだ。
 普天間移設が現実に進展しないとしても、普天間問題の原点である周辺住民への危険除去は、ただちに取り組むべきだ。訓練分散などによる飛行回数の大幅減少は急務である。大惨事が起きかねない現状を放置してはならない。
 米政府にも、普天間の危険除去と騒音など生活被害対策に積極的に協力するよう求める。この点で日本政府には強い姿勢が必要だ。
 その解決の先頭に立つ指導者として、鳩山首相には不安がある。
神戸新聞
 とりわけ、「最低でも県外」と公約しながら辺野古移設へ回帰したのは、沖縄の人たちには「裏切り」に映る。信頼を決定的に損ねたことは深刻である。
 節目となる日米共同声明に対して、仲井真弘多知事は「実行はきわめて厳しい」と述べ、地元が納得できる説明を強く求めている。沖縄の声をくみ取らない日米合意への批判と受け止めるべきである。
 野党からは「偽装決着」として、首相の退陣を求める動きがでている。足元からの批判で政権基盤の揺らぎもうかがえる。
 首相はどう答えるか。まず自らの責任について語ることが先決だ。その上で「今後も命がけで取り組む」というのなら、欠けていたものを直視しなければならない。
東京新聞
 米軍普天間飛行場の移設先を辺野古とする日米共同声明が発表され、反対した福島瑞穂消費者担当相が罷免された。責められるべきは公約を実現できなかった鳩山首相自身であり、罷免は筋違いだ。
 「最低でも県外」と公約した鳩山由紀夫首相は「現行案ではない」と強弁するが、在日米軍基地の約75%が集中する沖縄県民に負担を強いることに変わりはなく、そんな詭弁(きべん)は許されるものでない。
 首相は自らが決着期限に設定した五月末までに米国、移設先、連立与党の合意を得ると言っていたものの、共同声明発表までに合意を得たのは米国だけだった。
 移設先や連立与党を差し置いて共同声明を発表したのは、首相の体面を保つ意味しかない。そんな共同声明に社民党が反対するのは当然だ。鳩山首相がすべきは、福島氏の罷免ではなく、国外・県外移設への努力を続けることではなかったか。
朝日新聞
 社民党党首の福島瑞穂・消費者担当相は国外・県外移設を貫くべきだとして方針への署名を拒み、首相は福島氏を罷免せざるをえなくなった。連立の一角が崩れたに等しい打撃である。
 「5月末決着」という、もうひとつの公約すら守れなくなることを恐れ、事実上、現行案に戻ることで米国とだけ合意したというのが実態だろう。
 地元や連立与党との難しい調整を後回しにし、なりふり構わず当面の体裁を取り繕おうとした鳩山首相の姿は見苦しい。
しかし、鳩山首相が退いても事態が改善されるわけではないし、辞めて済む話でもない。誰が首相であろうと、安保の要請と沖縄の負担との調整は大変な政治的労力を要する。そのいばらの道を、首相は歩み続けるしかない。
 そのためには民主党が党をあげて、人事も含め意思決定システムの全面的な再構築を図り、政権の態勢を根本から立て直さなければならない。
何より考えるべきなのは鳩山政権誕生の歴史的意義である。有権者が総選挙を通じ直接首相を代えたのは、日本近代政治史上初めてのことだ。
 政治改革は政権交代のある政治を実現した。永久与党が短命政権をたらい回しする政治からの決別である。選ぶのも退場させるのも一義的には民意であり、選んだらしばらくはやらせてみるのが、政権交代時代の政治である。
 歴史的事件から1年もたたない。政治的な未熟さの克服が急務とはいえ、旧時代の「政局」的視点から首相の進退を論じるのは惰性的な発想である。
 普天間への対応も含め、鳩山首相への中間評価は間もなく参院選で示される。首相は「5月末」は乗りきれても、国民の審判からは逃れられない。
琉球新報
 これは異なことを聞く。沖縄の民意を踏みにじった首相が28日夜、民意を大切にするよう進言してきた閣僚の1人を罷免した。どういう了見だろうか。県民はとても納得できまい。
 非は沖縄を切り捨てた側にあるのであって、首相こそ責任を問われてしかるべきだ。鳩山政権が過去の政権の「負の遺産」を無批判に受け継ぐとはどういうことだろう。「変革」「政治主導」を旗印に誕生した政権の取るべき道ではあるまい。
 首相は、普天間飛行場の移設先を「最低でも県外」「辺野古の海を埋め立てることは自然に対する冒涜(ぼうとく)」と発言してきた。今回の日米の再確認は、これらの発言に明らかに反しており、政治責任は避けられない。
 共同声明の発表にこぎ着けたことで、5月末決着の約束を果たしたと考えているなら、認識違いも甚だしい。
 そもそも、沖縄の積年の痛みを「負担の軽減」などという常套(じょうとう)句で片付けてほしくない。県民の切なる願いは「耐え難い苦痛の解消」であり、痛みを「再発させない抜本策」なのである。
 民意無視の合意はいずれ破綻(はたん)しよう。日米両政府は国外移設を軸に、実現性のある移設策を探るほうが賢明と知るべきだ。
沖縄タイムス
 県を含め地元とは協議しないまま、鳩山首相は4日の沖縄訪問で県内移設を宣告した。選挙中の「最低でも県外」の公約を党首としての発言でしかなかったと詭弁(きべん)を弄(ろう)した。「自然への冒〓(ぼうとく)」と言っておきながら、辺野古海域の埋め立てを前提としているのはむちゃくちゃだ。
 鳩山首相は記者会見で沖縄への思いを語りながら、本土移転を模索したと強調した。しかし陸空一体で運用する部隊特性に気づき、本土移転は断念したという。すべて移せばいいことだが、それに触れなかったのはごまかしだ。
 鳩山首相が勝手に決めた「5月末」期限のつじつま合わせに政府は腐心し、目線は県民へ向いていなかった。
 「辺野古回帰」の方針に沖縄は同意していない。
 これほどの混乱を招き、沖縄をもてあそんだ鳩山首相政治責任は極めて重く、即刻退陣すべきだ。
普天間飛行場を使っている海兵隊が沖縄に駐留する理由を歴代政権は説明してこなかった。政治主導を表看板としたはずの民主党政権が実態のない「抑止力」という軍事用語ですべてを押し切ろうとするのは、文民統制を自ら放棄したことになる。
 政府だけでなく、実態のない言葉で思考停止に陥ってしまう日本の歪(ゆが)んだ言論空間に危うさを感じる。
 首相は「辺野古」を明記した共同声明に反対する社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相を罷免した。信念を貫いた福島氏が切られた。閣内調整より米国との関係を優先した手法は間違っている。
 罷免すべきは臆面(おくめん)もなく嘘(うそ)をついた鳩山首相のはずだ。
中国新聞
 そこまでした背景には、日米同盟をぎくしゃくさせたくないとの思惑があることは間違いない。
 しかし政府方針の基になっている日米共同声明は、自民党政権の下でつくられた現行計画とほぼ同じ内容だ。
 昨年の衆院選で「最低でも県外」と約束したのは、ほかならぬ鳩山由紀夫首相だった。膨らんだ期待をあっさりほごにされた沖縄県民の悔しさと怒りは、察するにあまりある。
 沖縄の負担を軽減するためとして、米軍の一部訓練移転先に例示された鹿児島県・徳之島の住民の思いも同じだろう。
かねてから首相は「米国、沖縄、連立政権の合意が得られる状況をつくる」と繰り返していたはずだ。もはや「言葉の軽さ」で済まされるような次元ではない。首相は自らの政治責任を明らかにし、けじめをつける必要がある。
日経新聞
 政権発足から8カ月間にわたる迷走で、首相の言葉の軽さばかりが目立った。首相は普天間移設が日米同盟の根幹にかかわる問題であるという認識を欠いたまま、場当たりの対応に終始し、指導力を示せなかった。首相としての資質そのものが疑われるという深刻な事態を招いている。その責任は極めて重い。
 首相は28日の記者会見で5月末決着ができなかったことを陳謝したうえで「今後も粘り強く基地問題に取り組み続けることが自分の使命」と述べ、続投する考えを示した。「この問題の全面的な解決に向けて命を懸けて取り組まねばならない」とも語ったが、この言葉を素直に受け取れる人はどれほどいるだろうか。
 首相が福島担当相を罷免したのは当然だが、それにとどまらず社民党との連立を解消するのが筋だろう。安全保障という重要政策で根本的な意見対立を抱えたまま連立を維持するのはおかしい。選挙対策優先で連立を続けるなら本末転倒だ。
日米同盟のきずなも強く傷ついた。オバマ大統領に「トラスト・ミー(信頼してほしい)」と言ったにもかかわらず、決着を先送りした首相への米側の不信感は根強い。
辺野古案しかありえぬ
首相は有事に即応できる沖縄の米海兵隊が果たしている紛争抑止力について、当初、理解していなかったことを認めた。米海兵隊が沖縄にいなくても、抑止力に支障がないと考えていたという。
 しかし日本とアジアの安定にとって、在日米軍による抑止力が必要であることは言うまでもない。日米同盟の修復を急がねばならない。
 とりわけ重要な役割を担うのは、朝鮮半島台湾海峡に近い、沖縄の在日米軍だ。普天間などの米海兵隊基地を沖縄から撤去できないのはこのためだ。政府はこうした事情を丁寧に地元や国民に説明し、普天間基地辺野古への移設に支持を取りつける責任がある。それを再確認するきっかけにするしかない。
産経新聞
 目を覆うばかりの失政が続いている。米軍普天間飛行場移設に関する日米共同声明がようやく発表され、「辺野古」が明記された。当然だが、遅きに失した。
「5月末までに決着させる」とした首相の約束は果たせなかった。その政治責任は極めて重大だ。しかも首相は尖閣諸島の領有権に関して、日中間の当事者が話し合いで結論を出すと表明した。尖閣諸島が日本固有の領土であることへの認識すらない。
 一国の平和と繁栄の責務を担う最高指導者として不適格と言わざるを得ない。国益を損なう「愚かな首相」は、一刻も早く退陣すべきである。