みちのく・出羽紀行 その1(T.MATSUOKA)

KokusaiTourist2011-08-27

東北を旅してきました。8月19日から23日まで、東北4県を駆け足でしたが…。
旅を東北に選んだのは、5ヶ月余をすぎた被災地をこの目で確かめること世界遺産に指定された中尊寺に改めてふれてみたい。ファンの藤沢周平さんの地元庄内を訪ねること蔵王・磐梯の自然の中で心身をリフレッシュすることでした。
 高台から眺めた被災地石巻の惨状は、表面的にみても、車が海岸近くに山積みされ、付近は“更地”のまんま、未だ眼を覆うばかりです。わずかの滞在時間ではあったけれども、16年前の“経験”を思い起こすと、生活や営業は復興どころか復旧さえままならぬ現状がかいま見てとれました。
 日本三景の一つとされる、松島海岸も夏休みの土曜日にもかかわらず、人出はまばら。瑞巌寺山門前の土産物屋さんも、恐らく津波被害から外観も改修すら出来ず営業していない店が眼につきます。
 岩手県中尊寺は、さすがに世界遺産ということで、賑わいを見せていました。30年もの昔、添乗の仕事でよく来ていた時とは、自身の「知識」も増えており、違った趣きで金色堂なども楽しむことができました。
 仙台の青葉区のはずれにある、作並温泉(神戸の有馬のような)は、「著名」な宿で、それなりに期待していたが、折からの“風評被害”“節電”のため、土曜日で客はいっぱいなのに、係員の数が「減らされて」、圧倒的にすくない。玄関迎えなし、フロント、客が前に立っても顔もあげられないほど忙しい、部屋への案内なし、湯茶の接待なし、バイキングで座席の案内なし。係員がそれぞれは必死!に頑張ってても限界あり。“便乗スリム経営”と言われても…
 予定外の最上川沿線コースのドライブは儲けた感じ。司馬遼太郎の「街道を行く」をおさらいしながら、訪れた芭蕉(五月雨を集めてはやし最上川や子規の歌の違いや批評などに思いを馳せたひとときでした。
 北前船などで豪商を誇った本間家旧本邸最上川日本海に注ぐ酒田に訪ねました。邸内の案内嬢の丁寧な説明で、酒田の殷賑と本間家の財に眼を見張り、ゆっくりと往時を偲びながら、“期待”の鶴岡に向かいました。途中、雲の間から顔を出した出羽の名山鳥海山の秀麗な威容にも感激。
 瀟洒な駅のたたずまいからだけでも鶴岡がどんな町か想像できます。殆どの著書を読んだ藤沢周平さんの記念館が昨年四月に鶴岡公園にオープンしていたので、これははずせません。鶴ヶ丘城址の中心に建てられた記念館は、あたたかい周平さんの人柄、小説の筋の通り、飾りだてのない清潔な外観です。展示物もゆっくり見学すると、ファンなら半日あっても足りないくらい興味をそそり、足が進みません。この入館料が市立とはいえ、何と300円!今時にしては驚くほど良心的です。