「格安」と安全は両立しない

3連休の29日、信越道を走っていて、標識で関越道の事故渋滞を知った。宿のテレビで大惨事とわかり、“やっぱり!”とため息。私と同様GWを楽しみにしていた人たちの尊い命が奪われた。旅行業界に長く身を置く一人として、悲しく悔しい。安売り競争の放置はいつか大事故を引き起こすと声を上げてきたが、それを止める力にはなり得なかった。バス会社や旅行会社の責任が問われ、運転手が逮捕されただけでなく、事故の大もとを徹底して問わなければならない。都市間結ぶ夜行の路線バスが走り始めて久しい。運転手一人の体力と技量にのみ身の安全を委ねる危なっかしさ。さらに旅行社がバスの席だけを旅行商品として売り始めたことで競争が激化し大事故につながった。長年の「規制緩和」策は、「自由競争が活力を生む」、「消費者には多様な選択肢を」と声高に叫んできた。価格競争を事実上野放し状態にしてきた行政、特に部内からのツァーバスの危険性の指摘を放置してきた国交省の責任は重い「格安」価値観を垂れ流し、事故が起きてから安全対策はどうだったかなどと繰り返すマスコミも一時の「迎合」に過ぎない。「格安」競争と安全は絶対に両立しないという世論こそがいま必要。空の「格安」の出現も「歓迎一色」で安全がおびやかされている。空の安全、それは国民の“いのち”そのもの。旅に関わるものとして、さらに自戒を込め、安全第一の声を上げ続けたい。(T.M)