阪神淡路大震災18周年

18年前に神戸元町(JR元町駅前)で被災した国際ツーリストビューローは、全国のご支援、市民の連帯と社員のがんばりで、組織と役割を今日まで見事に存続させています。2007年の創業50年を経て、2009年には、さらに市民に役立つ旅行業と永続的な組織をつくるべく、株式会社から運営を労働者協同組合と発展させました。

 あの日から18年を迎えようとしている。街並みやインフラの復旧、「創造的復興」の成り行きばかりに行政の力が割かれる中で、阪神淡路大震災の真の復興、人間復興をめざす住民の闘いがねばり強く続いていた2年前、とてつもない大震災に東北地方が見舞われた。
 地震津波に加え原発事故が、その被害の規模の違いを超えて全く異質な被災状況を生み出してしまった。被害の大きかった岩手、宮城、福島で、阪神の教訓を踏まえた政府の復興というのは、またしても「創造的復興」である。原発事故を直接的に受けた福島県は、「創造的復興」どころか、福島県では、展望のある復興策すら示せず、事実上復旧・復興を放棄し江戸時代にいうところの『亡所』と決めつけてるかの如くである。
 半世紀近くもの間、「基本的人権」を侵害し、『権力の濫用』の限りを尽くし、憲法の各条項、精神を踏みにじってきた挙げ句に起きたのが福島原発の事故であった。原発事故ので引き起こされた損害を回復するだけでは根本的な問題解決にはならない。『亡所』とさせないために、憲法の視点に立って日本全体が福島の原発被災に改めて目を向けなければならない。
 一方、18周年を迎えた「創造的復興」の“元祖”の兵庫、神戸は今どうなってるのか…
 当時知事は、復興構想会議の座長に元国土庁長官を据え、南北の6本の基幹道計画で予算を取った。直後の金融危機財政破綻で事業は破綻、経済の空洞化が進み、GDP(2011年)は全国平均より10%も低い。神戸市は、「開発で稼ぎ、福祉に回す」都市経営、「住むなら神戸」とファッション・観光・デザイン都市を標榜、被災後は国際ハブ港を謳った。さらに鉄鋼から医療産業、空港だと言ってきた。実際は、港湾の利用率は2割以下、空港は便数と利用客が相乗的に減少し、完全な失敗。医療産業も内外で競争都市が多く誘致難。結局のところ、港湾・開発主体の市の組織構造の温存のための売れ残り土地対策だったと言わざるをえない。
 また、長田を西の副都心としようとした「区画整理・都市再開発事業」は、事業半ばで放棄され、元の住民は追い出され、もくろんでいた「中間層」も入ってこない。ケミカルシューズも、卸が1軒になり、メーカーは健康、ファッション関係が残り半減してしまった。市は、長田地域を衰退産業のスラム街と視るようになってしまった。
 これが、「創造的復興」の18年後の実態である。
 私たちは18年の被災経験だけでなく、その後の復興の実態、創造的復興の現実を地元で明らかにし、人間復興をめざすとともに、そうした経験を東日本大震災にも活かしていくことが、私たちに求められているということに、18周年の記念の日、決意を新たにしたい。(文中統計的数字や兵庫・神戸の現状分析には、北野正一教授の論文を参考にさせていただいた。)


歌で綴る1・17(T.MATSUOOKA)
2009/1/17
人災も あったであろう 大震災 いま雇用破壊 政災と言わん
たたかって 優しさ連帯 みちつけた 今燃え上がる 117の力
2010/1/17
節目の日 涙の中に 怒り沸く テレビ伝える ハイチの悲劇
体験を なぜに活かさぬ ハイチ救援 新政権に いら立ち沸騰
ベッドの上 揺れを凌いだ 数分間 階下の惨状 昨日のごとし
走馬燈 巣立ち‘旅立ち’いま二人 思い走らす 今朝のそのとき
生きるため 見知らぬ心も 通わせて よくも堪えたり 被災の各地
15年経ち 薄らぐ優しさ 反転し 手応えふくらむ 連帯の声
支えられ 守り通せた 我が職場 学んだ仕事 社会に返そう
半世紀超ゆ 職場のあゆみ 震災が 画期となりて 労協に深化す

2011/1/17
忘れ得ぬ 16年前も 休み明け 辛い思い出 今朝は雪

2013/1/17
忘れるな 利益求める ばかりでは 生きていけない 自然のオキテ

被災地に 想いを馳せよ いつまでも 責任とらずに 狙うは『忘所』



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