イギリス議会が否決! 日本も反対意志を直ちに表明せよ!

シリアへの軍事介入
 アメリカなどがシリアへの軍事介入の策動を強める中で、マスコミに登場する多くのコメンテーターは、“人道的介入”の障害がロシア、中国が安保理で拒否権を行使することとだとし、両国が軍事介入に同意を迫っていた。
 そんな中でイギリス議会が反対を決議し、首相も議会意志の尊重を表明。アメリカの策動を許さない国際世論をさらに大きくしなければならない。日本の官房長官は記者会見で「仮定の問題にはお答えできません。」などと、およそ平和憲法を持つ独立国にあるまじき答弁をしている。アメリカいいなりの外交姿勢そのままに、アメリカの“窮地”を救うべく時間稼ぎの答弁。情けない限りだ。“シリアへの軍事介入を許さない!”の国内世論を急ぎ大きくしましょう。
下記は、沖縄タイムスの8/30社説を転載


シリア情勢緊迫 拙速な軍事介入避けよ
 中東シリアの内戦をめぐる情勢が緊迫している。首都近郊で、アサド政権が化学兵器を使用し、多数の市民が犠牲になった疑惑が浮上。米国は英仏などと協力し、武力行使準備の最終段階に入った。
 しかし、化学兵器の使用に関する国連の現地調査は緒に就いたばかりだ。国連の調査では化学兵器を使ったのが、シリア政府軍なのか、反政府勢力なのかは特定できない可能性もある。それでも国連の調査結果を待つべきだろう。
 大量破壊兵器をめぐる米英の情報機関の誤情報で開戦したイラクの二の舞いは避けなければならない。拙速な軍事介入の危うさを指摘しないわけにはいかない。
 イラク戦争の既視感はほかにもある。国連安全保障理事会の決議が得られていないことだ。英国が提示した武力行使容認決議案をロシアと中国が反対し、決裂している。
 シリア政権派と反政府勢力の背後には、イスラムシーア派スンニ派の宗教対立の構図もある。そこに大国の思惑が絡み、国際社会の政治的駆け引きの要素も帯びる。
 イラク戦争時との大きな違いは、米国内で軍事介入に慎重な意見が根強いことだ
 武力行使に反対するロシアや中国も、化学兵器の使用が人道上許されないことに異論はないだろう。国際社会が足並みをそろえる余地はある。
 2年半に及ぶ内戦の犠牲者は10万人を超えている。これ以上、悲惨な戦闘を放置するわけにはいかない。
 そのためにも、ぎりぎりまで外交的手段を尽くしてもらいたい

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 化学兵器は1980年代のイラン・イラク戦争以来、本格的な使用は確認されてこなかった。戦闘員と民間人を分けることなく殺傷する無差別攻撃力をもつ化学兵器の使用は明確な国際法違反だ。「貧者の核兵器」とも呼ばれる非人道兵器の使用は戦争犯罪であり、断じて許されない。
 とはいえ、軍事に軍事で対抗する手法がどれだけ通用するのか。むしろ悪循環を招く弊害を無視できない
 米軍はミサイルによる軍事施設のピンポイント攻撃を想定しているのだろう。が、多数の民間人が巻き込まれるリスクの高さは、過去の武力行使で証明されている。
 シリア国内では米国の軍事介入に備え、食料を買いだめする市民や隣国に脱出を急ぐ車列も目撃されている。目的がどうであれ、武力行使の被害者は、常に弱い立場の一般市民であることを痛感させられる
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 深入りを避けたいオバマ政権は、シリアの政権転覆が目的ではなく、懲罰的な攻撃と位置づける方針だ。しかしそうなると、限定的な介入でシリアから化学兵器を一掃できるのか、との疑問も湧く。
 シリア内戦は反政府勢力の戦況が悪化している。反政府勢力にとっては、外国の軍事介入で巻き返しを図りたい局面でもある。
 内戦を収束に導くシナリオも不透明の中、米軍の介入が引き金となって、アサド政権に共感を寄せる国が支援を強化し、内戦の泥沼化が深まる懸念もぬぐえない。