今朝の「朝日」社説 その通り!

秘密保護法案―「翼賛野党」の情けなさ 
巨大与党の前に、あまりにも情けない野党の姿である。
 このままでは自民党の「補完勢力」どころか「翼賛野党」と言われても仕方あるまい。 日本維新の会が、自民、公明の与党と、特定秘密保護法案の修正に合意した。
 みんなの党に続く妥協だ。
いずれの修正も実質的な意味は乏しく、問題の根幹はまったく変わっていない。
 与党は、4党で修正案を共同提案し、26日の衆院通過をめざすという。野党はこれを許してしまうのか。愕然(がくぜん)とするのは、維新との修正合意で、特定秘密の指定期間が後退したことだ。
 維新は当初、「30年以上延長できない」と主張していた。ところが、合意では「60年たったら原則として解除」と期間が2倍に延びてしまった。しかも60年を超えても延長できる7項目の例外まで、できてしまった。
 まるで与党側の焼け太りだ。これでは、維新もみんなの党も利用されるだけではないか。
 維新は秘密指定できる行政機関を絞り込む案も主張したが、与党にはねつけられた。「首相が有識者の意見を聴いて政令で限定できる」との合意では、およそ実効性に乏しい。 秘密指定のチェックについても、大きな疑問符がつく。 法案の付則に「第三者機関の設置検討」を盛り込むことで合意したが、付則に書いても実現の保証はない。どんな機関になるかも不明確で、期限も区切っていない。
 与党とみんなの党との合意では、首相が「第三者機関的観点」からかかわることで客観性が担保されるとした。最大の当事者を「第三者」とする意味不明。与党が真剣に問題を受けとめているとは思えない。
 維新の内部からも「後退している」などの批判が噴出している。当然だ。今からでも対応を見直すべきだ。
 野党ではほかに、民主党が対案を出している。秘密の範囲は外交や国際テロに限る▽国会が委員を指名する第三者機関「情報適正管理委員会」を設置し、個々の秘密指定が適当かどうかも調べる▽罰則は政府案が最長懲役10年だったのを懲役5年以下とする――などの内容である。政府案との隔たりは大きい。そこを埋める努力もせず、4党の修正案で突き進むのでは、巨大与党にすり寄っているとしか映らない。

与党に都合のいい修正をするのが野党の役割ではない。