夏の終わり旅

KokusaiTourist2008-09-12

 みちのく考5題 最終回(T.Matsuoka)

⑤「バイキング」考
 みちのく2日目、夕食はバイキング。500人以上は泊まれる大型の温泉旅館で、知名度がない中で集客のための立地条件を活かした露天風呂など努力や工夫は随所に見られた。バイキングもその一つか、客参加の餅搗きイベントなど子供は大喜びで大人も楽しませてくれる。料理の味もスタッフの動きも満足のいくものだった。好きな物を好きな量だけ食べる、客は満足。バイキングは客のニーズに合い旅館経営上も合理的なのだろう。
 たしかに客はいろんな美味しい料理、家では日頃食べないものを食べたいと思ってはいる。しかし、結局は和洋中種々の料理が並ぶなかから選ぶのは、好きなものを沢山ということになりがちか。それはそれで満足ならいいではないかとも言える。
 ただ、地域で日本旅館として進むなら、地域の特産を活かしてアレンジされた日本料理を提供できないものか。客のニーズに「迎合」するのでなく…、旅館なりの誇りをアピールしてはどうかと思う。日本旅館に来て洋食や中華を望む人そうはいない。会席料理を食べる機会も少なくなるなかでせめて、日本旅館に泊まって会席料理を楽しんでもらう。さらにいえば、そういう機会を利用して日本料理のよさを残していくことに貢献する。地元の特産、食材を活かした料理で地域での役割も果たしてもらいたいと思う。バイキングという形をとるにしても、例えば会席バイキングなどとして、先付け、つくり、酢の物、揚げ物、焼き物などの区別の中から客の好みで選んでもらう、地元特産コーナーをつくるなどの方法ができないものかとも思う。
写真は“雨の小岩井農場