ふたたび、日本航空

日航 資本提携どう着地 同一連合アメリカンも名乗り
(MSN産経ニュースより)


経営再建中の日本航空が、同じ航空連合に加盟する米航空大手アメリカン航空の親会社AMRとも、出資を含めた提携強化の交渉を進めていることが13日、明らかになった。AMRは日航本体への出資や合弁会社設立などを持ちかけているもようだ。
 日航は現在、世界最大の航空会社、米デルタ航空と大詰めの資本・業務提携の交渉中だが、不調に終わればアメリカンとの資本提携に転じる可能性もある。
 米航空会社の成長戦略にアジア市場は欠かせないことから、AMRが名乗りをあげたことで、日航支援をめぐる争奪戦に発展しそうだ。
 日航は目下、デルタとの間で500億円前後の出資を受け入れる方向で協議中で、エールフランス−KLMとも共同運航(コードシェア)の拡大や出資受け入れで交渉を行っているもようだ。
 国土交通省は、デルタの豊富な太平洋線を使って共同運航を行えば、日航はより多くの不採算路線を縮小できるなどとして、デルタとの交渉を後押ししている。北米−成田路線や北米−南米路線が強みのデルタと提携できれば、「経済成長が見込まれるブラジル路線なども強化できる」(国交省幹部)との読みや、北米路線の一部を共同運航することで、自社便廃止や減便などリストラ効果もあると期待する。
 このため、日航も現在、デルタとの交渉を優先しているほか、エールフランス−KLMとも交渉を進めている。
 ただ、日航アメリカンと同じ国際航空連合の「ワンワールド」に属しており、以前から共同運航を実施するなど関係が深い。予約関連システムなども共同開発しており、日航の関係者からは「デルタと提携するとなれば、ゼロからの関係を構築するため、システム統合などで莫大(ばくだい)なコストを要する」とアメリカンとの関係強化はかねて本命視されてきた。
 アメリカン側にとっても日航をデルタに取られると、「ワンワールド」が崩壊しかねないだけに、デルタに対抗する構えだ。
 世界不況による航空需要低迷や燃料費高騰のダブルパンチで、世界の航空業界は、大規模な再編が相次いだ。世界規模での生き残りには、燃料や航空機の共同調達など規模拡大によるコスト削減や路線の相互利用などの国際提携による効果がカギを握る。それだけに、日航は早期に交渉をまとめたい考えだ。
 AMRが日航本体への出資に名乗りをあげてきたことで、日航は新たな交渉の選択肢を得ることになるが、当面は条件交渉が続くとみられる。9月末をめどに策定する経営改善計画の柱となる他社との提携がどう決着するかは不透明だ。