神戸の観光について その2

(by T.MATSUOKA)

3.神戸の観光の現状と問題点
①古くはポートピア81、ユニバーシアード85、アーバンリゾート93、近くはビエンナーレ07など、イベント開催や大型施設建設など、行政主導の大量集客事業に終始し、集客数と収益が事業成否の基準とされてきました。「財政力」「集客力」の誇示でなく、「住民力の発揮」「住民満足度」「住民参加形態」についての評価が、充実、継続に必要です。「神戸まつり」についても、開催の時期、規模、地域、他市のまつりとの連携などなどの変遷の歴史を検証するのは大事です。
ルミナリエは、04年の492万人をピークに減少傾向で昨年は336万(04年比68.2%)まで落ち込み、参加者に募金を募ってまでの開催は見直す時期にきているのではないでしょうか。会場内募金に添えられたメッセージには「震災の追悼という当初の目的は果たしたと思います。観光化されすぎている状態なので、もう終了してはいかがでしょうか。」などの声もあります。
フルーツフラワーパーク、農業公園、北野工房など「非伝統的な施設」の入場者数は04年比でそれぞれ87%、85%、86%に減少しています。市民の反対を押し切って建設した神戸空港は、利用者の減少、路線数の減少が互いに足を引っ張っています。空港見学者が「観光入込客数」の統計の項目に上がっています。神戸空港は「観光地」でもなければ「観光施設」でもありません。
②市が特別協力するコンベンション誘致の組織MEET IN KOBE 21 のメンバーには旅行社では大手3社のみが登録され、大企業への発注がシステム化されています。大規模なコンベンションなどの開催情報は、こうした組織を通じて大手指定旅行社と直結し、中小旅行社が主催者より情報と見積もり依頼を受けた時点では会場、宿泊施設も予約できないのが常態化しています。
③行政や大企業、一部観光カリスマ主導のトップダウンによる大規模観光開発、施設建設でなく、域内観光の需要層であり「いつまでも住み続けたいまち」を願う市民や中小業者、NPOなど市民団体の意見を汲み上げた「神戸の観光」が立案されるべきです。
④インフルエンザの蔓延による神戸の「観光」の被害への支援策は、実際の損害への補てんの視点は排除され、金融機関の需要を増やす融資の「充実」という「安易な」対策や新たな集客イベント企画への補助金などであり、一部の事業者・団体に限定されざるをえない問題があります。